【高次脳機能障害シリーズ】構成失行とは?
2026/06/24
【解説】知識ゼロからの高次脳機能障害26
図形や配置が難しくなる?構成失行と生活場面での困りごと
はじめに

「図形をまねして描けなくなった」
「物を同じように並べられない」
「荷物をうまく整理できない」
「食器の配置や片付けが難しくなった」
脳卒中などのあと、このような変化が見られることがあります。
ご家族から見ると、「急に片付けができなくなった」「雑になったのかな」「空間認知の問題なのかな」と感じるかもしれません。
こうした困りごとの背景に、構成失行という高次脳機能障害が関係している場合があります。
構成失行は少し専門的な言葉ですが、生活の中では「物の位置関係を整えることが難しい」という形で気づかれることが多いです。
生活の中での影響は、荷物整理・食器の配置・書類整理・洗濯物をたたむ・物を決まった場所に置く・家具や物の位置関係を考えるといった場面に現れることがあります。
構成失行とは?
構成失行とは、図形や物の配置など、空間的な形を組み立てることが難しくなる状態です。
たとえば、図形を写す・積み木を同じ形に組む・物を見本通りに並べる・荷物を箱に詰める・書類をそろえる・物の位置関係を整えるといったことが難しくなります。
単に「不器用になった」というだけでは説明しにくい困りごとです。
形や位置関係を頭の中で組み立てることが難しくなり、結果として生活動作に影響します。

図形を写せない
構成失行は、検査場面では「図形を写す」課題で気づかれることがあります。
たとえば、四角形・立方体・時計・家の絵などを見本通りに描くことが難しくなることがあります。
線の長さが合わない、角度がずれる、一部が抜ける、全体の形がまとまらないといった様子です。
ただし、ご家族が日常生活で図形を描く様子を見ることはあまり多くありません。
そのため、生活の中では別の形で困りごとが現れます。

生活では「片付け」や「配置」の困りごととして見えます
構成失行は、生活の中では次のような形で見られることがあります。
- 食器をうまく並べられない
- 荷物をバッグに詰められない
- 書類をそろえられない
- 洗濯物をたたみにくい
- 引き出しの中を整理できない
- 物の置き場所が分かりにくい
- 家具や物の位置関係を考えにくい
たとえば、旅行や通院の準備で、バッグに必要な物を詰める場面。
以前なら自然にできていたのに、物の入れ方がまとまらない、必要な物が入らない、どこに何を置けばよいか分からないといった困りごとにつながることがあります。

他の高次脳機能障害との関係にも注意が必要です
構成失行のように見える困りごとは、他の高次脳機能障害と重なることもあります。
たとえば、半側空間無視では、片側の空間に気づきにくくなります。
そのため、左側の物に気づかない・図の片側が抜ける・食器の片側に注意が向かないといったことが起こります。
これは構成失行と似た見た目になることがあります。
また、注意障害があると、作業の途中で注意がそれてしまい、結果として整理や配置がうまくいかないこともあります。
つまり、「物を並べられない」「図形が描けない」という場面だけで、すぐに構成失行と決めつけることはできません。
どの症状が関係しているのかを、専門職と一緒に見ていくことが大切です。
家族ができる工夫
構成失行がある場合は、「きれいに片付けて」と言うだけでは難しいことがあります。
空間的な組み立てがしやすいように、見本や環境を整えることが基本です。
置き場所を固定する
物の置き場所が毎回変わると、配置を考える負担が大きくなります。
よく使う物はできるだけ同じ場所に置くようにします。
たとえば、薬はこの箱・眼鏡はこのトレー・財布はこの引き出し・通院バッグはこの場所というように、場所を固定します。
見本を置く
食器の配置・荷物の詰め方・書類の置き方などは、見本があると分かりやすい場合があります。
写真を貼る・完成した状態を見せる・置く位置に印をつけるといった工夫です。
言葉で説明するより、視覚的なヒントが役立ちます。
手順を減らす
複雑な整理や片付けは難しくなりやすいです。
物を細かく分類しすぎるより、「ここに入れる」「この箱にまとめる」「使う物だけ出す」というように、手順を減らす方が続きやすくなります。
できる範囲を残す
すべて家族が片付けてしまうと、ご本人の役割がなくなってしまいます。
安全面や負担を見ながら、タオルだけたたむ・箸だけ並べる・自分の小物だけ箱に入れるなど、できる範囲を残すことも大切です。
「片付けられない」と責めないために
構成失行があると、「だらしなくなった」「雑になった」「前はできていたのに」と見えてしまうことがあります。
しかし、ご本人の中では、形や位置関係を組み立てることが難しくなっています。
責めるよりも、「どこに置けば分かりやすいか」「見本があればできるか」「手順を減らせるか」を考えることが大切です。
生活の中で困っていることは、性格や意欲の問題ではないことがあります。
まとめ
構成失行とは、図形や物の配置など、空間的な形を組み立てることが難しくなる状態です。
生活の中では、
- 図形を写せない
- 食器を並べにくい
- 荷物を整理しにくい
- 書類をそろえにくい
- 洗濯物をたたみにくい
- 物の置き場所が分かりにくい
といった困りごとにつながります。
ただし、半側空間無視・注意障害・麻痺・視力の問題なども関係することがあるため、生活場面だけで判断せず、専門職と一緒に整理することが大切です。
支援では、置き場所を固定する・見本を置く・手順を減らす・視覚的なヒントを使う・できる範囲を残すことが役立ちます。
「片付けられない人」と見るのではなく、「どうすれば分かりやすく配置できるか」を一緒に考えることが、生活のしやすさにつながります。
よく使う物を一つ決めて、毎日同じ場所に置く習慣から始めてみてください。

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