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全般性注意障害とは?「集中できない・疲れやすい」高次脳機能障害をわかりやすく解説

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【高次脳機能障害シリーズ】全般性注意障害とは(改訂版)

【高次脳機能障害シリーズ】全般性注意障害とは(改訂版)

2026/05/22

【解説】知識ゼロからの高次脳機能障害1(改訂版)

全般性注意障害とは?「集中できない・疲れやすい」高次脳機能障害をわかりやすく解説 -注意障害編-

はじめに

「最近、ボーッとしていることが増えた」

「話を聞いているようで、内容が入っていない」

「単純なミスが増えた」

 

脳卒中や頭部外傷のあと、そんな変化に戸惑うご家族は少なくありません。

 

しかし周囲からは、「やる気がないのでは?」「ちゃんと話を聞いていない?」「怠けているだけでは?」と誤解されてしまうことがあります。

 

でも実際には、本人も困っていることが多く悩んでいます。

集中したい。  
ちゃんと聞きたい。  
ミスしたくない。  
迷惑をかけたくない。

それでも、"脳の注意力そのもの"が低下していて、疲れやすくなり、注意を保つことが難しくなるのです。

 

全般性注意障害は、高次脳機能障害の代表的な症状のひとつです。


本人も、「集中したいのに続かない」「頑張りたいのに疲れてしまう」「前は普通にできていたのに…」と、自信を失ってしまいます。

 

今回は、そんな全般性注意障害について、

- どんな症状なのか
- なぜ疲れやすくなるのか
- 実生活でどんな困りごとが起きるのか
- 家族はどう接すればいいのか

を、生活目線でわかりやすくお伝えしていきます。
 

【解説】知識ゼロからの高次脳機能障害【在宅介護】

-これから高次脳機能障害を知っていきたい方へ-

【疑似体験】寝不足の日の脳を想像してみてください

少し想像してみてください。

 

徹夜した翌日、話が頭に入らない・集中できない・ミスが増える・ボーッとしてしまう。
そんな経験はないでしょうか。

 

全般性注意障害では、それに近い状態が日常的に起こることがあります。

 

さらに、脳が疲れやすくなっているため、人混み・会話・テレビ・スマホ通知など、普通の生活だけでも消耗してしまうことがあります。

 

もちろん、単なる寝不足とは違います。

ただ、 「頑張れば集中できるはず」ではなく、

 “脳の処理容量そのものが低下している”

と考えると、少し理解しやすくなります。
 

本人はサボりたいわけではないのです。

全般性注意障害とは?

全般性注意障害とは、注意力全体が低下しやすくなる高次脳機能障害です。

脳卒中・頭部外傷・脳損傷などのあとに起こることがあります。

 

ここで大切なのは、「怠け」「性格」「気合い不足」ではない、ということです。

 

脳の注意機能にはいくつかの働きがある

注意機能には、

  • 集中を続ける力
  • 必要な情報を選ぶ力
  • 複数のことへ注意を向ける力
  • 別の作業へ切り替える力

など、いくつかの働きがあります。

 

全般性注意障害では、こうした注意機能の働き全体が低下しやすくなります。

その結果、“脳が疲れやすく、情報を処理しきれない状態”になり、

  • 集中が続かない
  • 疲れやすい
  • ミスが増える
  • 話を聞いている途中で抜ける

などが起こります。

どんな特徴がある?

集中が続かない

  • 本を読んでいても、数行で疲れてしまう。
  • テレビを見ていても、内容が追えない。
  • 会話を聞いていても、途中から頭に入らなくなる。
  • そんな状態が起こることがあります。
     

本人も「ちゃんと聞こうとしているのに頭に入らない」と困っています。
周囲には"聞いていない"ように見えても、懸命に集中しようとしているのですが、注意を保ち続けることが難しくなっているのです。

 

疲れやすい

全般性注意障害では、"脳疲労"が非常に大きな問題になります。

少し話しただけで疲れる・スーパーで情報量に圧倒される・病院の待ち時間だけで消耗する・人混みでぐったりする、といったことが起こることがあります。

外から見ると「大げさでは?」と感じることもあるかもしれませんが、本人の脳は常にフル稼働に近い状態になっていることがあります。

 

 

ボーッとして見える

周囲からは「聞いていない」「やる気がない」「反応が遅い」ように見えることがあります。
しかし実際には、脳が情報処理に時間がかかっている最中、あるいは、処理しきれずに一時的に"処理落ち"しているような状態の場合があります。

 

ミスが増える

以前ならしなかったような簡単な作業でも、手順を飛ばす・同じミスを繰り返す・作業途中で止まる、などが起こることがあります。
「ちゃんとやっているつもり」でも起きてしまうため、強い落ち込みにつながることがあります。

 

複数のことを同時にするのが難しい

  • 料理をしながら会話する。
  • テレビを見ながら家族の話を聞く。
  • 病院で説明を聞きながらメモを取る。

こうした“同時処理”(ダブルタスク)が難しくなることがあります。

一つずつならできることも、同時になると急に混乱することがあります。

脳の「処理落ち」とは?|アプリを大量に開いたパソコンのような状態

パソコンで大量のアプリを同時に開くと、動作が重くなることがあります。
クリックしても反応が遅い・処理に時間がかかる・フリーズしそうになる。

全般性注意障害では、脳の情報処理にも似たことが起こる場合があります。
会話・音・視線・動きなどが重なっただけで脳が疲弊してしまうことがあり、それが「ボーッとして見える」「反応が遅い」という形で現れることがあります。

 

実生活で起こる困りごと

病院説明が頭に入らない

病院では、検査のこと、症状のこと・薬のこと・次回予約のこと・生活上の注意事項など、多くの情報が一度に入ってきます。
でも全般性注意障害があると、説明を聞いている途中で疲れてしまい、内容が頭に入りにくくなることがあります。

 

待合室だけで疲れ切る

病院の待合室には、多くの刺激があります。

人の声・呼び出し音・テレビ・人の動き・照明・緊張感

こうした情報が一気に入ってくることで、脳が疲れてしまうことがあります。
診察前に、すでに疲れ切っている。そんなこともあるのです。

 

スーパーで情報量に圧倒される

スーパーにも、たくさんの刺激があります。

商品・値札・人の動き・店内放送・レジの音・スマホ通知

健康な時には何気なく処理できていた情報でも、全般性注意障害があると大きな負担になることがあります。

その結果、「買い物に行くだけでとても疲れる」という状態になることがあります。

 

会話だけで疲れる

会話は、意外と多くの注意力を使います。

  • 相手の言葉を聞く
  • 意味を理解する  
  • 返事を考える
  • 表情を見る
  • 会話の流れを追う

こうした処理が同時に必要になります。

複数人での会話や長時間の会話は、脳に大きな負荷がかかります。
話を理解し続けるだけでも、脳が疲れてしまうのです。

 

テレビや動画が追えない

テレビを見ていても、内容が入らない・話についていけない・集中が切れることがあります。
字幕・音・映像が同時に入ることで、脳が疲れやすくなります。

 

料理や家事でミスが増える

料理中に、火をつけたまま忘れる・手順が抜ける・次に何をするか分からなくなることがあります。料理という作業は、複数の作業を同時に行うため負担が大きいのです。

 

運転が危険になることもある

注意力低下によって、見落とし・判断遅れ・疲労による反応低下などが起こる場合があります。
症状によっては、運転について医師や専門職と相談することも大切です。

 

【Note】疲れると症状が悪化しやすい

全般性注意障害では、疲労によって症状が強く出やすくなることがあります。

  • 午前中はできていたことが、午後になると難しくなる。
  • 外出後にミスが増える。
  • 病院から帰ったあと、会話する余裕がなくなる。

こうしたことがあります。

 

そのため、"頑張り続ける"よりも"疲れる前に休む"ことが重要になります。

 

本人は「迷惑をかけたくない」「前みたいに頑張りたい」と思っていることが多くあります。
しかし無理を続けると脳疲労が強まり、かえってミス増加・集中低下・強い疲労感につながることがあります。

「もっと頑張って」ではなく、休憩・情報量の調整・環境調整が大切になる場合があります。

【Note】スマホ通知だけでも脳は疲れる

スマホは便利ですが、注意を奪う刺激も多くあります。


LINE通知・SNS・ニュース・音・光・広告など…

注意を奪う刺激が非常に多いものなのです。

 

全般性注意障害では、こうした刺激だけでも疲弊してしまうことがあります。

何かの作業中にスマホがブルブル震えて通知を教えてくると、作業に向けていた注意をいったんスマホに向けなければならないのです。

だから「スマホを見ていただけなのに疲れる」ということも、決して珍しくありません。
意識的に通知を減らしたり、静かな時間を作ったりすることが助けになる場合があります。

 

方向性注意障害(半側空間無視、USN)との違い

注意障害にはいくつかのタイプがあります。

その中で、混同されやすいものに半側空間無視があります。

 

半側空間無視(USN)は方向性注意障害とも呼ばれ、"特定方向への注意"が向きにくくなる障害です。

一方、全般性注意障害では、"注意集中が全般的"に続きにくくなったり、逆に注意の切替えが難しくなったりします。方向性注意障害のように左右差は見られません。

 

簡単に整理すると、

  • 全般性注意障害    → 注意全体が続きにくい、疲れやすい
  • 半側空間無視    → 特定の方向、特に左側への注意が向きにくい
     

どちらも高次脳機能障害の一つですが、症状とご本人の困り方は少し異なります。

【解説】知識ゼロからの高次脳機能障害2

左側が“ない世界”?半側空間無視(方向性注意障害)とは
-方向性注意障害(半側空間無視)編-

家族が感じやすいこと

ご家族は、毎日の生活の中で戸惑うことがあります。

  • 「また同じミスをしている」
  • 「話を聞いていないように見える」
  • 「すぐ疲れたと言う」
  • 「ぼーっとしている時間が増えた」

そんな様子を見ると、イライラしてしまうこともあるかもしれません。

 

でも、本人も困っています。

 

本当はちゃんとやりたい。  
迷惑をかけたくない。  
できるようになりたい。

 

それでも続かない。

 

その苦しさがあることをf周囲が少し理解できるだけでも、関わり方は変わっていきます。

接し方のポイント

一度に多く伝えない

情報量が多いと整理が難しくなります。
短く・一つずつ・シンプルに、を意識すると伝わりやすくなります。

 

静かな環境を作る

テレビ・雑音・人混みなどは脳疲労を強めやすくなります。
静かな環境の方が集中しやすいことがあります。

 

休憩を挟む

疲労がたまる前に休むことが重要です。
「休みながら続ける」方が結果的に安定しやすいことがあります。

 

メモやチェックリストを活用する

記憶だけに頼らず、やることを見える化したり、順番を整理することでミスを減らしやすくなります。

  • メモ
  • チェックリスト
  • カレンダー
  • アラーム

 

ミスを責めない

ミスを責められると、本人はさらに緊張し、余計に注意が散りやすくなることがあります。
「なぜできないの?」ではなく、「どうしたらやりやすいか」を一緒に考えることが大切です。

注意機能の分類についてはこちら


【解説】知識ゼロからの高次脳機能障害1

-注意障害編-

以前の記事では、持続性注意・選択性注意・分配性注意・転換性注意・注意容量など、注意機能の分類についても詳しく解説しています。「注意機能をもっと詳しく知りたい」という方は、こちらもぜひご覧ください。

まとめ

全般性注意障害は、「集中できない」「疲れやすい」「ミスが増える」といった症状が起こる高次脳機能障害です。

しかしそれは、"やる気の問題"ではなく、脳が情報処理に疲れやすく、注意を保ちにくい状態になっているのです。

 

だからこそ、

  • 急かさない
  • 情報を減らす
  • 休憩する
  • 責めない

ことがとても大切になります。

 

頑張りたいのに続かない。
そんな本人の苦しさを理解しようとすることが、ご本人の安心や支えにつながります。

 

在宅生活や高次脳機能障害への関わり方に悩んでいる方は、ぜひルピネにもご相談ください。作業療法士として多くの方と関わってきた経験から、一緒に考えさせていただきます。

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