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短期記憶障害とは?|今聞いたことが保持できない困りごと

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【高次脳機能障害シリーズ】短期記憶障害とは?

【高次脳機能障害シリーズ】短期記憶障害とは?

2026/06/11

【解説】知識ゼロからの高次脳機能障害14

短期記憶障害とは?|今聞いたことが保持できない困りごと

はじめに

電話番号を聞いたのに、すぐに分からなくなる。  
買い物を頼まれたのに、玄関を出るころには何を買うのか分からなくなる。
「この後、薬を飲んでください」と言われたのに、少し経つと抜けてしまう。

 

このように、“今聞いたことを少しの間保つ”ことが難しくなる記憶障害があります。

これを、短期記憶障害と呼ぶことがあります。

 

短期記憶障害は、前向性健忘と重なって見えることもありますが、
生活の中では特に「今聞いたことが保持できない」という困りごととして現れます。
つまり、「覚える前の短い時間」に情報がこぼれてしまうような困りごとです。

 

この記事では、短期記憶障害について、注意障害との違いにも触れながら解説します。

短期記憶とは?

短期記憶とは、今入ってきた情報を短い時間だけ保っておく働きです。

 

例えば、

  • 電話番号を聞いて入力するまで覚えておく
  • 買い物を3つ頼まれて店まで覚えておく
  • 「この書類を受付に出してください」と言われて覚えておく
  • 料理中に次の手順を覚えておく

などです。

 

短期記憶がうまく働かないと、
聞いた直後は分かっていても、少し時間が経つと抜けてしまうことがあります。

 

  • 電話番号を聞いても、メモする前に抜けてしまう
  • 複数の指示を聞いても、最初の内容が消えてしまう

 

このように、「少しの間だけ覚えておく」ことが難しくなる場合があります。


先述した前向性健忘が「新しい出来事が記憶として残りにくい」困りごとだとすると、
短期記憶障害は、「今聞いた情報を、その場でしばらく保つことが難しい」困りごとです。

 

「先ほど何かしようとしていたのに、内容が思い出せない」と忘れてしまうような現象に似ています。

前向性健忘
短期記憶障害
主な困りごと
新しい出来事が後から思い出せない
その場で情報を保持できない
症状の例
昨日の面会を翌日覚えていない
電話番号を聞いてもすぐ忘れる

【解説】知識ゼロからの高次脳機能障害12

前向性健忘とは?|新しいことが記憶できない困りごと

生活で起こりやすい困りごと

電話番号や数字が保持できない

電話番号を聞いても、入力する前に分からなくなることがあります。

数字、時間、金額などは、短い時間でも保持する負担が大きい情報です。

 

指示を忘れる

「これを持ってきて」
「次にここへ行って」
「薬は食後に飲んで」

こうした指示を、少し時間が経つと忘れてしまうことがあります。

 

買い物途中で抜ける

買うものを覚えて店に行っても、店内で別の商品を見ているうちに、何を買う予定だったか分からなくなることがあります。

 

会話の途中で分からなくなる

会話が長くなると、最初に何を話していたか分からなくなることがあります。

そのため、話についていくのが難しくなる場合もあります。

疑似体験|手のひらの水がこぼれていく感覚

短期記憶障害は、手のひらに水をすくっているような感覚に近いかもしれません。

 

最初は入っている。  
でも、指の間から少しずつこぼれていく。  
目的地に着くころには、ほとんど残っていない。

聞いた瞬間には分かっていても、少し時間が経つと保持できなくなる。

 

ご本人にとっても、「さっきまで分かっていたのに」という不安につながることがあります。

注意障害との違い

短期記憶障害と間違えやすいのが、注意障害です。

どちらも生活の中では、

「聞いたことを忘れる」
「指示が通らない」
「予定が抜ける」

ように見えることがあります。

ただし、考え方としては少し違います。

 

注意障害

注意障害では、そもそも情報が十分に入っていないことがあります。

例えば、説明中に周囲の音が気になり、話の大事な部分を聞き逃している場合です。

この場合、ご本人は“聞いたけれど忘れた”のではなく、“最初から十分に入っていない”ことがあります。

 

短期記憶障害

短期記憶障害では、情報はいったん入っているけれど、少しの間保つことが難しい状態です。

聞いた直後は言える。  
でも少し経つと抜けてしまう。

 

このような違いがあります。

ただし、実際には注意障害と短期記憶障害が重なることもあります。

【解説】知識ゼロからの高次脳機能障害1(改訂版)

全般性注意障害とは?「集中できない・疲れやすい」高次脳機能障害をわかりやすく解説 -注意障害編-

家族ができる工夫

短期記憶障害がある場合は、情報を短く、見える形にすることが大切です。

例えば、

  • 一度にたくさん伝えない
  • 1つずつ伝える
  • 紙に書く
  • メモを渡す
  • 指示を短くする
  • 手順を番号で示す
  • 買い物リストを使う
  • スマホのメモやアラームを使う

などです。

「覚えておいてね」ではなく、  
「忘れても確認できるようにしておく」

という考え方が大切です。

 

失敗を責めないことも大切です

短期記憶障害があると、日常の小さな失敗が増えます。

 

家族から見ると、
「また忘れた」
「ちゃんと聞いていなかったのでは」
と感じることがあります。

でも、ご本人も失敗したくてしているわけではありません。

 

短期記憶障害では、覚えようとしても保持できないことがあります。

責めるよりも、

  • 忘れても確認できる仕組み
  • 失敗しにくい環境
  • できたことを続けられる方法

を作る方が、生活は安定しやすくなります。

まとめ

短期記憶障害とは、今聞いたことや見たことを短い時間だけ保つことが難しくなる状態です。

電話番号を覚えられない。  
指示を忘れる。  
買い物途中で抜ける。  
会話の流れを保持しにくい。

こうした困りごとにつながります。

 

注意障害では、最初から情報が入りにくいことがあります。  
短期記憶障害では、入った情報を保つことが難しいことがあります。

 

ただし、両方が関係する場合もあります。

大切なのは、

  • 情報を短くする
  • 一度にたくさん伝えない
  • メモやリストを使う
  • 忘れても確認できる環境を作る

ことです。

 

覚えられないことを責めるより、  
覚え続けなくても生活できる仕組みを作ることが大切です。

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