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前向性健忘とは?|新しいことが記憶できない困りごと

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【高次脳機能障害シリーズ】前向性健忘とは?

【高次脳機能障害シリーズ】前向性健忘とは?

2026/06/09

【解説】知識ゼロからの高次脳機能障害12

前向性健忘とは?|新しいことが記憶できない困りごと

はじめに

「さっき説明したばかりなのに、また同じことを聞かれる」
「病院で先生の話を聞いたはずなのに、帰宅すると内容を覚えていない」
「今日、面会に行ったことを忘れている」

このような様子があると、ご家族はとても戸惑います。

 

「本当に聞いていたの?」
「ちゃんと覚える気がないのでは?」
「認知症なのかな?」

そう感じてしまうこともあります。

 

高次脳機能障害では、“新しいことが記憶として残りにくい”状態が見られることがあります。

これを、前向性健忘と呼びます。

 

この記事では、前向性健忘について、生活場面をもとにわかりやすく解説します。

前向性健忘とは?

前向性健忘とは、脳の損傷が起きた後に、新しく経験したことや聞いたことを覚えにくくなる状態です。

簡単に言うと、
“これから先の新しい記憶が残りにくい”
ということです。

 

例えば、

  • 朝食を食べたことを忘れる
  • 面会に来た家族のことを忘れる
  • 病院で説明された内容を忘れる
  • 今日の予定を忘れる
  • 同じ質問を繰り返す
  • さっき会った人を忘れる

などが起こることがあります。

 

ここで大切なのは、本人の努力不足だけで説明できるものではない、ということです。

聞いた時には理解していても、それが記憶として残りにくいことがあります。

疑似体験|保存ボタンが壊れた感覚

前向性健忘をイメージするなら、「保存ボタンが壊れたパソコン」に近いかもしれません。

文章を入力する。  
その時は画面に表示されている。  
内容も読める。  
分かったつもりでいる。

 

でも、保存ボタンを押しても保存されない。

次に開いた時には、入力した文章が残っていない。

 

前向性健忘では、聞いた瞬間には理解できていても、その内容が後から取り出せる記憶として残りにくいことがあります。

 

そのため、ご家族から見ると、
「さっき分かったと言ったのに」
と感じる場面が起こります。

 

よくある生活場面

同じ質問を繰り返す

「今日は何曜日?」
「病院は何時?」
「ご飯はまだ?」

何度も同じ質問をされると、ご家族は疲れてしまいます。
しかし、ご本人にとっては“初めて訊ねる質問”の感覚になっていることがあります。

 

病院説明を覚えられない

診察室ではうなずいていた。  
質問にも答えていた。  
でも家に帰ると、説明内容がほとんど残っていない。

このような場合、理解力だけでなく、記憶として残す力が関係していることがあります。

 

今日の出来事が残りにくい

朝食を食べた。  
リハビリを受けた。  
家族が来た。

でも夕方になると、その出来事が思い出せない。

ご家族から見ると寂しく感じることもありますが、本人の中に記憶が定着しにくい状態が起きている可能性があります。

【Note】前向性健忘と短期記憶障害との関係

前向性健忘と短期記憶障害は、生活場面では重なって見えることがあります。

短期記憶障害は、今聞いたことを少しの間保つことが難しい状態です。

前向性健忘は短期記憶障害と似て見えることもありますが、
「今聞いたことを一瞬保てない」というよりも、
「新しく経験した出来事全体が、あとから思い出せる記憶として残りにくい」
という困りごとです。

その場では会話ができていても、
時間が経つと、その出来事自体を思い出せないことがあるのです。

 

「覚える気がない」のではありません

前向性健忘で大切なのは、家族が“責めない工夫”を持つことです。

 

何度も同じことを聞かれると、

「さっき言ったでしょ」
「どうして覚えていないの」

と言いたくなります。

 

その気持ちは自然です。

 

しかし、ご本人は覚える気がないのではなく、記憶として残すことが難しい場合があります。

むしろ、

「何か大事なことを忘れている気がする」
「また怒られるかもしれない」
「自分でも分からない」

と不安を感じていることもあります。

家族ができる工夫

前向性健忘がある場合は、口頭説明だけに頼らないことが大切です。

例えば、

  • 予定をホワイトボードに書く
  • カレンダーに大きく記入する
  • 薬は一包化や薬箱で管理する
  • 病院説明はメモに残す
  • 面会したことを写真で残す
  • スマホのアラームを使う
  • 同じ場所に同じ情報を置く

などです。

 

ポイントは、「思い出してもらう」よりも「見れば分かる環境を作る」ことです。

【解説】知識ゼロからの高次脳機能障害18

記憶障害の方を支える工夫|メモ・スマホ・環境調整の使い方

病院受診や外出で注意したいこと

前向性健忘がある方は、病院受診や外出時にも困りやすくなります。

医師から説明を受けても、後で思い出せないことがあります。

 

そのため、

  • 家族が同席する
  • 説明をメモする
  • 検査結果を記録する
  • 次回予定を紙で残す
  • 受診後に家族へ共有する

ことが大切です。

 

ルピネの通院付き添いでも、医師の説明や検査内容を記録し、ご家族tと担当ケアマネへ共有することがあります。

記憶障害がある方にとって、情報を“残す”支援はとても大切です。

まとめ

前向性健忘とは、新しいことが記憶として残りにくくなる状態です。

同じ質問を繰り返す。  
病院説明を忘れる。  
今日の出来事が残らない。  
面会や食事を忘れる。

こうした様子が見られることがあります。

 

しかし、それは怠けや性格の問題とは限りません。

ご本人も、記憶がつながらない中で不安を抱えていることがあります。

 

大切なのは、

- 口頭だけに頼らない
- 予定や説明を見える形に残す
- 何度も責めない
- 家族だけで抱え込まない

ことです。

 

「さっき言ったでしょ」ではなく、  
「見れば分かるようにしておこう」

そう考えることで、生活の負担が少し軽くなることがあります。

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