【高次脳機能障害シリーズ】エピソード記憶とは?
2026/06/16
【解説】知識ゼロからの高次脳機能障害19
エピソード記憶とは?|昔の思い出は覚えているのに、昨日のことは忘れるのはなぜ?
はじめに

「子どもの頃の話はよく覚えている」
「昔の仕事の話は詳しく話せる」
「でも、昨日のことは思い出せない」
このような様子を見ると、ご家族は不思議に感じます。
「昔のことを覚えているなら、記憶力はあるのでは?」
「昨日のことだけ忘れるのはなぜ?」
「都合よく忘れているのでは?」
そう思ってしまうこともあります。
記憶にはいくつかの種類があり、その一つにエピソード記憶があります。
この記事では、エピソード記憶について、前向性健忘との関係も含めて解説します。
エピソード記憶とは?
エピソード記憶とは、自分が体験した出来事の記憶です。
例えば、
- 小学校の修学旅行
- 結婚式
- 子どもが生まれた日
- 家族旅行
- 昨日の夕食
- 今日の面会
- 病院での説明
などです。
「いつ」「どこで」「誰と」「何をした」という形で思い出される記憶です。
疑似体験|新しいページだけ増えない日記
日記に例えると分かりやすいかもしれません。
昔の日記はちゃんと残っている。
何年も前のページを開けば、その頃のことが書いてある。
でも、今日のことを書いたつもりなのに、次の日には何も残っていない。
ページが白紙に戻っている。
前向性健忘がある場合、このように今日の出来事(エピソード)が記録されにくいような状態が起こることがあります。

昔の思い出が残りやすいことがあります
昔の出来事は、長い時間をかけて何度も思い出されたり、家族と話されたりして、記憶として定着している場合があります。
そのため、最近の出来事よりも保たれやすいことがあります。
一方で、昨日の夕食や今日の予定は、新しく記憶する必要があります。
新しい記憶を残すことが難しい状態では、
- 昔の思い出は話せる
- でも昨日のことは思い出せない
ということが起こります。
家族が誤解しやすい場面
エピソード記憶の障害では、家族が誤解しやすい場面があります。
例えば、昔の仕事の話は詳しくできる。
でも、今日薬を飲んだかは分からない。
若い頃の旅行は覚えている。
でも、昨日家族が面会に来たことは忘れている。
このような時、ご家族は、
「覚えていることもあるのに」
「本当は分かっているのでは」
と感じることがあります。
しかし、古い記憶と新しい記憶では、保たれ方が違うことがあります。
覚えていることがあるからといって、すべて覚えられるとは限りません。

前向性健忘との関係
前向性健忘とは、新しいことが記憶として残りにくい状態です。
エピソード記憶の中でも、特に新しい出来事が残りにくい場合、
「昨日のことは忘れる」
「今日の出来事が残らない」
「面会を覚えていない」
という形で現れます。
つまり、前向性健忘は、新しいエピソード記憶が作られにくい状態として理解すると分かりやすいです。
思い出話は安心につながることもあります
昔の思い出が残っている場合、それを大切にすることは意味があります。
思い出話をすることで、
- 安心する
- 表情が和らぐ
- 会話が広がる
- 家族とのつながりを感じる
ことがあります。
ただし、思い出せないことを無理に聞き出す必要はありません。
「覚えてる?」と試すように聞くより、
「この時、みんなで行ったね」「この写真、いい表情ですね」
というように、共有する形の方が安心につながりやすいことがあります。

まとめ
エピソード記憶とは、自分が体験した出来事の記憶です。
昔の思い出は覚えているのに、昨日のことは忘れる。
これは、記憶が全部なくなっているわけではなく、新しい出来事が記憶として残りにくい状態が関係している場合があります。
大切なのは、
- 昔の記憶と新しい記憶は違うことがある
- 覚えていることがあるからといって、全部覚えられるとは限らない
- 思い出話は安心につながることがある
- 試すように聞きすぎない
ことです。
「昔は覚えているのに、なぜ今は忘れるのか」
その理由を知ることで、ご本人への見方が少し変わるかもしれません。
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