【高次脳機能障害シリーズ】記憶障害の方を支える工夫
2026/06/15
【解説】知識ゼロからの高次脳機能障害18
記憶障害の方を支える工夫|メモ・スマホ・環境調整の使い方
はじめに

「メモを取っても見ない」
「スマホに予定を入れても忘れてしまう」
「便利なアプリを入れたけれど、続かなかった」
記憶障害のある方を支える時、道具や工夫はとても大切です。
しかし、便利な道具を用意すれば解決するわけではありません。
その方に合っていない方法は、続きません。
作業療法士の視点では、
“高機能な方法”よりも、
“生活の中で続けられる方法”
が大切です。
この記事では、記憶障害の方を支えるためのメモ、スマホ、カレンダー、ホワイトボード、写真、ルーチン化などの工夫を解説します。
【Note】便利なアプリより続けられる方法
記憶障害の支援では、つい便利なアプリや新しい道具を使いたくなります。
もちろん、合う方にはとても役立ちます。
しかし、
- 操作が難しい
- 充電を忘れる
- 通知を見ない
- 入力が面倒
- どこを見ればいいか分からない
という場合は、続きにくくなります。
大切なのは、本人が自然に使えることです。
紙のメモの方が合う方もいます。
ホワイトボードの方が分かりやすい方もいます。
家族が写真で共有する方が合う方もいます。
その人の生活に合う方法を選ぶことが大切です。

メモの使い方
メモは、記憶障害の支援でよく使われます。
ただし、メモは「書けばよい」わけではありません。
大切なのは、
- どこに書くか
- いつ見るか
- 誰が確認するか
- 書き方が分かりやすいか
- メモが増えすぎないか
です。
メモがあちこちにあると、どれが大事か分からなくなります。
おすすめは、メモの場所を固定することです。
例えば、
- 冷蔵庫の横
- 食卓の上
- 玄関
- テレビの横
- いつも座る椅子の前
など、本人が自然に見る場所に置くと確認しやすくなります。

カレンダーの使い方
カレンダーは予定の確認に役立ちます。
ポイントは、大きく、見やすく、書き込みすぎないことです。
例えば、
- 病院の日
- デイサービスの日
- 家族が来る日
- ゴミの日
- 外出予定
などを、分かりやすく書きます。
文字が小さすぎると見にくくなります。
予定が多すぎると混乱することがあります。
「今日見る場所」として使えるようにすることが大切です。

ホワイトボードの使い方
ホワイトボードは、毎日の予定や確認事項を見える形にするのに便利です。
例えば、
今日の日付
今日の予定
食事の時間
薬の時間
家族が来る時間
今いる場所
などを書きます。
特に、同じ質問が多い場合は、
「今日は〇月〇日です」
「病院は14時です」
「娘は夕方に来ます」
のように書いておくと、本人も家族も確認しやすくなります。
スマホの使い方
スマホは、使い慣れている方には強い味方になります。
使いやすい機能としては、
- アラーム
- カレンダー
- メモ
- 写真
- LINE
- リマインダー
などがあります。
例えば、
薬の時間にアラームを鳴らす。
通院予定をカレンダーに入れる。
持ち物を写真で残す。
家族との連絡をLINEにまとめる。
ただし、スマホの操作方法など、新しく覚えること自体が負担になる場合もあります。
そのような場合は、家族が設定し本人は通知を見るだけにするなどにより負担を減らしたり、無理にスマホ化しないことも大切です。
写真の活用
写真は、記憶を支える手がかりになります。
例えば、
- 面会に来た家族の写真
- 外出先の写真
- 食べたものの写真
- 予定表の写真
- 持ち物の写真
などです。
「今日、娘さんが来ましたよ」と言葉で説明するより、写真を見た方が安心できる方もいます。
外出後に写真を見返すことで、
「行ったこと」
「楽しかったこと」
「誰と会ったか」
を確認しやすくなります。
ルーチン化する
記憶障害がある方には、毎日の流れをなるべく一定にすることも役立ちます。
例えば、
- 薬は食後すぐ
- カレンダー確認は朝食後
- メモを見る場所を固定
- 財布や鍵の置き場所を固定
- 外出準備の順番を固定
などです。
毎回違う方法にすると、覚える負担が増えます。
同じ場所、同じ順番、同じ言い方にすることで、生活が安定しやすくなります。
家族だけで管理しすぎない
支援道具を使う時に注意したいのは、家族だけが管理者になりすぎることです。
家族がすべてを把握して、本人は何も見ない状態になると、家族の負担が増えてしまいます。
可能であれば、
- 本人が見る
- 家族も見る
- 支援者も確認できる
形にすると、情報共有がしやすくなります。
訪問看護、ヘルパー、デイサービス、リハビリ職などが関わる場合は、同じ予定表や連絡ノートを使うこともあります。
まとめ
記憶障害の方を支える工夫には、メモ、カレンダー、ホワイトボード、スマホ、写真、ルーチン化などがあります。
大切なのは、便利な方法をたくさん使うことではありません。
“その人が続けられる方法”を選ぶことです。
ポイントは、
- 見る場所を決める
- 情報を増やしすぎない
- 書き方を分かりやすくする
- 家族だけで抱え込まない
- 忘れても確認できる環境を作る
ことです。
記憶障害があっても、環境を整えることで生活しやすくなることがあります。
本人の努力だけに頼らず、生活の仕組みで支えることが大切です。
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