【高次脳機能障害シリーズ】記憶障害の方との接し方
2026/06/14
【解説】知識ゼロからの高次脳機能障害17
記憶障害の方との接し方|家族が疲れすぎないために
はじめに

「今日も同じことを聞かれた」
「何度説明しても忘れてしまう」
「つい強い口調で言ってしまった」
記憶障害のある方と暮らすご家族は、毎日の中で大きな負担を感じることがあります。
頭では「症状だから仕方ない」と分かっていても、何度も同じことが続くと、イライラしてしまうことがあります。
それは、家族が冷たいからではありません。
同じ説明を何度も繰り返すことは、とても疲れることです。
この記事では、記憶障害の方との接し方について、ご本人だけでなく家族の気持ちにも触れながら解説します。
疑似体験|毎日初めて聞く話になる
記憶障害がある方にとって、家族が何度も説明している内容が、毎回“初めて聞く話”のように感じられることがあります。
家族にとっては5回目。
でも本人にとっては1回目。
家族にとっては昨日も話したこと。
でも本人にとっては今初めて聞いたこと。
このズレが、家族の疲れにつながります。
「また同じことを聞かれた」と感じる家族と、
「今初めて不安になった」と感じている本人。
どちらも苦しいのです。

まず家族を責めないこと
記憶障害の対応では、「怒らないことが大切」とよく言われます。
確かに、強く怒ると本人が不安になったり、混乱したりすることがあります。
でも、家族が怒ってしまうこと自体を責めすぎる必要はありません。
家族も疲れています。
介護や見守りを続ける中で、余裕がなくなることは自然です。
大切なのは、「怒ってしまった自分はダメだ」と責めることではなく、
「怒らなくても済む仕組みを作る」ことです。
同じ質問には“見える答え”を用意する
同じ質問を何度もされる場合、口で毎回答えるだけでは家族が疲れてしまいます。
例えば、
「今日は何曜日?」
「病院は何時?」
「ご飯はまだ?」
と聞かれる場合は、ホワイトボードや紙に書いておく方法があります。
例
今日は〇月〇日
病院は14時
昼ごはんは12時
娘は夕方に来ます
このように、本人が見て確認できる場所に情報を置くと、家族の説明回数が減ることがあります。

否定よりも安心を優先する場面
記憶障害がある方は、事実と違うことを話す場合があります。
そのたびに、
「違う」
「そうじゃない」
「覚えていないの?」
と訂正すると、本人が不安になったり、言い争いになったりすることがあります。
もちろん、薬、お金、外出、安全に関わることは確認が必要です。
しかし、日常会話の中では、事実を正すことより安心を優先した方がよい場面もあります。
例えば、
「今日は仕事に行く日だ」と言われた時に、
「もう退職したでしょ」と強く言うのではなく、
「今日はお休みの日ですよ。ここで少しゆっくりしましょう」
と伝える方が落ち着くこともあります。

役割を残すことも大切です
記憶障害があると、家族は心配して、本人からいろいろな役割を取り上げてしまうことがあります。
もちろん、安全のために調整が必要なこともあります。
ただ、すべてを家族が代わりにしてしまうと、ご本人の自信や生活感が失われることがあります。
例えば、
- 洗濯物をたたむ
- 食器を並べる
- 新聞を取る
- 植物に水をあげる
- 家族に声をかける
など、小さな役割でも構いません。
“覚えること”が難しくても、“できること”が残っている場合があります。

メモや環境を使う
記憶障害の方との生活では、本人の記憶力だけに頼らないことが大切です。
- メモ
- カレンダー
- ホワイトボード
- 写真
- アラーム
- 薬箱
- 予定表
などを使い、忘れても確認できる環境を作ります。
ポイントは、家族が使いやすいだけでなく、本人が見て分かる形にすることです。
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【内部リンク:記憶障害の方を支える工夫】
家族だけで抱え込まない
記憶障害の対応は、家族だけで抱えると疲弊しやすいです。
特に、
- 同じ質問が多い
- 夜間も不安が強い
- 外出や通院が大変
- 薬管理が不安
- 家族が休めない
という場合は、ケアマネジャー、医師、リハビリ職、訪問看護、地域包括支援センターなどに相談することも大切です。
必要に応じて、通院付き添いや外出支援などを利用する方法もあります。

まとめ
記憶障害の方との関わりでは、ご本人も家族も苦しくなりやすいです。
同じ質問を繰り返す。
説明を忘れる。
予定を忘れる。
事実と違う話になる。
そのたびに家族が疲れてしまうのは自然なことです。
大切なのは、
- 家族を責めない
- 口頭説明だけに頼らない
- 見える答えを用意する
- 否定より安心を優先する場面を作る
- 役割を残す
- 家族だけで抱え込まない
ことです。
「何度言えば分かるの」ではなく、
「忘れても安心できる形にしよう」
そう考えることで、ご本人にも家族にも少し余裕が生まれることがあります。
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