【認知症は嘘つき?】認知症の方が嘘をつくようになる理由と解決方法【在宅介護】

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【認知症は嘘つき?】認知症の方が嘘をつくようになる理由と解決方法【在宅介護】

認知症の方がつく“嘘”に困っている方

 

なぜ認知症になったらよく嘘をつくようになるの?

 

どうしたら正しいことをわかってもらえるの?

 

認知症とうまく付き合って夫婦生活を穏やかに過ごしたい

 

このような疑問にお答えします。

   

本記事の内容

  • なぜ認知症の方が嘘をついてしまうのかを解説します
  • その症状が出やすい意外な理由
  • 心身ともに疲れてしまう状況を解決する5つの方法

 

病院では、ご高齢でもともと認知症のある方が骨折などで入院されてくるケースが少なくありません。病院のスタッフがそんな方と接するときは、その方にあった方法を工夫して見つけ対応しています。私自身、10年ほど作業療法士として、認知症の方と関わり得たコツを皆さんにご紹介します。

     

なぜ認知症の方が嘘をついてしまうのか

ちょい旅サポート ルピネ

認知症の方の中には「娘が私のお金を盗ろうとしている」「妻は私にご飯も食べさせない」「息子が私を閉じ込めようとしてる」などと、事実とは異なる被害妄想のような嘘をつく場面が見られることがあります。
なぜ、介護をしてくれている身近な人を困らせるような嘘をついてしまうのでしょうか。

   

事実は、記憶と正しい判断ができるから認識できる

ここで一つの事例をもとに認知症の方の認識の部分について考えてみましょう。

高齢の父が「スーパーで車を盗まれた」と徒歩で帰宅してきました。しかし実際に娘さんの車でスーパーに戻ってみると、駐車場の片隅にきちんと停めてあったのです。

しかし、それを見て「さっきまで無かったんだ!」と怒鳴り出します。

実際は駐車した場所を忘れてしまったようですが、車を見ても『忘れた』と自覚できていません。
物忘れと認知症同じ忘れるという部分では共通していますが、物忘れは『思い出せないことを自覚できる』のに対し、認知症は『忘れている事を自覚できない』ことが多いのです。つまり、駐車したはずの車が見つからないのは『誰かが盗んだからだ』と考え、それを事実として認識してしまいます。

私たちも、買い物を終えて駐車したはずの場所に車が無かったら、「盗まれた」って考えることでしょう。認知症になっても、『自分は認知症である』と自覚できる方は少ないため、『自分は正常である』ことを前提にして、車は盗まれたと結論づけることはごく自然なことです。

私たち人間は、記憶があって正しい判断ができるから実際にあった出来事を事実として捉えられますが、認知症になることで記憶障害と判断力の低下によって、真実でないことを事実と信じてしまうのです。

   

作話とは

人間の脳とは、足りない情報を補う高度な機能があります。
例えばこの写真には何が写っていますか?

ちょい旅サポート ルピネ

そうです。観覧車です。

正解です。でも、観覧車の一部分しか写っていないのに、なぜわかったのですか?

私たちの脳は、現実と辻褄が合うように、見えていない部分を作り出そうとします。
上半分しか見えていない観覧車の写真から、過去の記憶で似た情報を探し出し、下半分の映像を想像して脳内で円形状の観覧車を復元させています。

ここで、先程の車がなくなったケースに戻ります。『自分は車で買い物に来た』『買い物が終わったら車が見つからない』という見える事実があります。
また判断力の低下により、自分は忘れているとは考えにも及びません。
そして、これらの情報から『車が消えた』理由を考え出そうとします。

『さっきまで車があったのに、買い物が終わったら無くなってる』
『誰かが盗んだのに違いない』

このように自分なりに現状の辻褄を合わせるように、情報を補完しながら解釈します。

認知症の方がこのような思考回路で、事実とは異なる話をすることを『作話』といいます。
そしてこれが彼にとって『絶対的な事実』となるため、ご本人は全くウソをついている自覚はないのですが、周囲からは「自分の失敗をごまかしている」とか「またウソをついている」と思われてしまいます。

   

正しいことをわかってもらえる方法は無い

認知症は判断力の低下を伴います。
物理学が苦手な私に、相対性理論を教えようとしてもなかなか理解できないのと同じように、認知症の方に判断力が求められる理屈に基づくような説明・説得・否定などは効果がありません。それどころか、さらに混乱を強めてしまうことが多いものです。
理屈よりももっと有効な方法があります。

それは快刺激(かいしげき)とよばれる心地よい感情です。
快刺激は、認知症の方を落ち着かせる効果や認知症の進行を和らげる効果もあると言われています。

お風呂好きな人もいれば、そうでない人もいます。
細かい作業が好きな人もいれば、身体を動かす運動が好きな人もいます。
快刺激は人によって異なることが多いですが、ほとんどの人にとって同じ快刺激もあります。
ずばり『共感』です。

   

認知症の方の世界の住人になってみたら、対応が楽になった

病院で働いていると、様々な経歴を持った方をリハビリさせていただきます。なかには、私のような若輩者からリハビリの指導を受けることに抵抗を感じる方も当然いらっしゃいます。そんな方には、いつも以上に言葉遣いを丁寧に相手のプライドを尊重することで、結構反応が変わります。

私も小学生に「あなた違うでしょ!」とか「何度同じこと言わせるの!」などと言われたら、ガラスのハートが割れちゃいますからね。

またまた先程の車の例に戻りますと、ご本人は「車を盗まれた」と思ってとても焦っているはずです。もしかしたら、架空の窃盗犯に激怒しているかもしれません。そんな精神状態の人に「違うでしょ」と否定したら、さらに混乱してしまいます。

私がよくやる方法は、その方の世界を自分に置き換えて想像し、「こう言われたら嬉しいな」と思う言葉を探すことです。
もし私が「車を盗まれた」と焦っていたなら、「一緒に探そう」とか「心配だったよね」とか「車が戻ってきて一安心だね」などと声を掛けてもらえると、「そうなんだよー、わかるでしょ?」と少しずつ落ち着いてくると思います。そういう言葉を選ぶよう意識しています。

作話は、記憶障害と判断力の低下で欠落した情報を一生懸命おぎなった結果です。認知症の方の世界を肯定し、その世界に入って共感することでご本人が落ち着き、介護する方も対応が楽になると思います。

     

その症状が出やすい意外な理由

ちょい旅サポート ルピネ

認知症の症状は、一番親しい人に強く現れます
いつも介護をしてくれる人に対して怒ったり、その人のことを悪く言ったり、なくなった物の盗んだ犯人にされたりします。
ところが、時々会う病院の先生や訪問調査員、親戚の人などの前では、普段の状態からは想像できないほどしっかりした行動になるケースも多いため、介護の辛さが周りに伝わりにくいこともしばしばあります。こうして懸命に介護をしている方が孤立してしまいやすくなる苦労もあります。
これは、認知症の方が一番近くで介護してくれている人に意地悪しようとしているわけではありません。
むしろあなたのことを信頼しているからこそ、素が出てしまうのです。

親戚の人や病院の先生と会うときは、『しっかりしなきゃ』と緊張して頭をフル回転させます。そんなときは認知症の症状が一時的に出にくくなります。しかし脳には相当なストレスがかかるので、その状態は長くは続きません。いつも介護してくれているあなたのことを信頼しているから、あなたの前では一番症状が強く出てしまいます。
それだけ、あなたは介護に一生懸命なのだと思います。

     

心身ともに疲れてしまう状況を解決する5つの方法

【認知症】初期症状から対処法まで【在宅介護】

   

ウソというより、相手を安心させる言葉

認知症ケアには様々な考え方があります。私自身も、ある講習会では「認知症の方にウソをついてはいけない」と教わり、別の講義では「ウソも方便」と言われてきました。「一体どっちが正しいの?」と混乱する時期がありました。

確かに、認知症の方に対しては、『ウソも方便』方式が有効なことが多々ありました。しかし、私たち介護する側のウソを敏感に見抜き、逆に不信感を抱かれ信頼関係が崩れてしまうケースもありました。

私は『どちらの方法が正しいのか』という視点ではなく、認知症の方と介護する方、双方のストレスが軽減できる言葉がけが解決方法の一つだと考えています。
私たちが社会生活を営む中で、真実を正直に話したつもりが人を傷つけてしまうことがありますよね。特に日本人はオブラートに包んだ言葉を好んで使います。それは『嘘をついて相手をだましてやろう』という理由ではなく、『相手を傷つけないようにしたい』という心遣いです。

落ち着いて、ご本人の話をよく聞きたり観察してみてください。そこには認知症の方が嘘をつく理由のヒントを見つけることができるかもしれません。なぜそのような発言をするのか想定して、その原因を解決あるいは安心する言葉を探す。それは『ウソ』ではなく『相手を思いやる言葉』だと思いますよ。

   

②対処する必要のないことはあえてしない

認知症による判断力低下は、思考の切り替えも難しくさせます。
一度『車が盗まれた』という思考になってしまったら、周りの人が「盗まれていない。勘違いです」と言っても理解できません。
そんなときは「そうだね、でももう大丈夫。今度は私も気を付けて見るようにしますね。」と、あえて間違いを指摘せず、さらに共感と安心感を付加することで、スムーズに解決することが多くあります。
認知症の方の思考に乗っかるのがコツです。

   

③良いところを見つけて褒める

現在の医学では、認知症は進行性の病気です。身体的にも知的にも徐々に低下し、『できないこと』が増えていきます。増え続ける『できないこと』に注目し続けるとそれだけでつらい気持ちになります。『トイレは自分でできる』『一人で着替えができる』『家族と会話が楽しめる』など、できることに着目することは気持ちにゆとりができます。

   

④介護保険サービスを使って楽になる

また、認知症が進行していくことで症状が増えたり変化することもよくあることです。それに合わせた介護の対応も必要です。そうは言ってもやはり介護は大変ですし、私たちの日常生活は介護以外にもやることがいっぱいです。多くの人にとって、介護と自分の生活を両立することは簡単ではありません。デイサービスなどの介護保険サービスを利用することで、介護専門のスタッフがあなたの代わりに介護をします。それにより得られるあなたのメリットは、あなた自身の時間的な余裕精神的な余裕です。
あなたの時間ができることで、生活にゆとりができます。そして認知症状に対しても冷静に対応できる精神的な余裕もでてきます。ご家族が穏やかでいることで、認知症の方も穏やかな時間が増えてきます。
どうしても余裕がなくなると、「気持ちを落ち着けて言葉を選んで」なんてできませんからね。介護保険は、高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みとして創設された日本の制度です。「訪問系」「通所系」「短期滞在系」「居住系」「入所系」に分類されます。介護保険サービスは高齢者やそのご家族の生活を支えてくれるサービスです。

   

⑤隙間を埋める介護保険外サービスでさらに余裕を持つ

介護保険が2000年に始まり、今年で21年が経過し、生活の根幹を支えるサービスとしてサービスの内容が整ってきつつあると思います。そこでさらに「その人らしさ」という部分が強く発揮される生活を目指し、趣味活動などの介護保険サービスの隙間をカバーする介護保険外サービスも増えてきました。認知症があっても、その方の個性は消えるものではありません。「自分のしたいことができる」ことで楽しくない人はいないと思います。それはまさに快刺激以外のなにものでもありません。
このようなサービスを利用することも、介護が必要な方、介護するご家族の方の介護生活を豊かにしてくれます。

     

おわりに

いかがでしたか?
認知症の方がウソをつく理由は、懸命に頭をフル回転させて現実を理解しようとした結果であり、周囲の人からはウソと感じてもご本人はその気はありません。そして、そういった症状が起きやすい場面は、安心できる人の前でした。信頼しているはずの人に対して、理不尽な行動を取ってしまう認知症という病気は、ご本人にとっても介護する人にとっても辛いものです。
介護生活の負担を減らせる工夫はいくつもありましたが、慣れが必要だったり手続きや準備が必要なこともあります。ご自身ができそうなこと、1つでも参考にしていただけることがあれば嬉しいです。

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