【認知症】ご家族が感じるイライラの原因と対処法【在宅介護】

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【認知症】ご家族が感じるイライラの原因と対処法【在宅介護】

認知症の症状にお困りの方
家族のどなたかが認知症を患い介護をしていると、ついイライラしてしまい嫌な気持ちに苛まれることがありますよね。

  • 「イライラしてしまうのは私が原因?」
  • 「イライラしないようにする方法はある?」
  • 「イライラしても解消する方法はある?」

このような疑問にお答えします。
   

本記事の内容

  • 認知症のご家族と関わる時に感じるイライラの原因と対処法
  • イライラの本当の意味
  • 誰でも出来るストレスを減らす5つの対処法

   
病院では、ご高齢で認知症のある方が入院されてくるケースも少なくありません。病院のスタッフはその方に合った方法を見つけ、工夫して医療を提供しています。
私自身も作業療法士として10年ほどリハビリを通して認知症の方と接してきました。

ちょっと考え方を変えるだけで心が楽になれます。

   

認知症のご家族と関わる時に感じるイライラの原因と対処法

認知症のご家族と関わる時に感じるイライラの原因と対処法

イライラしてしまうのは私が原因?

何度も同じ話をしてくる。
「ごはんまだ?」
気持ちに余裕があるときは「さっき食べたでしょ」と答える。

でも数分後、再び
「ごはんまだ?」

このようなやり取りが何度も続くと
「さっき食べたって何度言わせるの」
と言いたくなってしまう時もありますよね。

認知症だとわかっていてもつい感情が爆発して、そして自己嫌悪。

     

なぜそんな気持ちになるのかというと、認知症になる前の健康だったころの姿をあなたが知っているからです。
「あのしっかりしていたお母さん」の、「できなくなった状態」を前にして困惑してしまうことは不思議ではないでしょう。

認知症の方のご家族をイライラさせてしまう要因はいくつもあります。

  • 認知症の症状そのもの(問題行動)
  • 認知症の方の性格
  • 認知症の方との関係性
  • ご家族の性格
  • ご家族の精神状態や疲労状態
  • そのご家庭の環境や状況

これらが複雑に絡み合うことで、ご家族がストレスフルになってしまう状況ができやすいのです。

だから、あなたが原因ではないし「誰が悪い」というものではありません。
自己嫌悪を感じる必要はないのです。

   

問題行動を減らす対処法

介護するご家族は、介護に仕事にと時間に追われやすいことでしょう。このような状況では大抵の人は自分を守る防御反応としてイライラしてくるものです。
ではそんな状況を作ってしまう要因の一部でも減らせたらどうでしょうか。

3つの手順だけで認知症のご家族の問題行動が軽減できる可能性があります。

   

Step1 「なぜ、その問題行動が出てくるのか」という視点で考えてみて

さっき食べたばかりなのに、何度も「ごはんまだ?」と聞いてくる行動は、記憶障害が原因だということがわかります。これは認知症の症状ですから、記憶力を戻すことはできません。よって“食べたことを忘れる”ことは変えられません。
しかし、“何度も聞いてくる”という行動は、“食べたことを忘れる+量が足りなかった”かもしれませんし、“食べたことを忘れる+手持ち無沙汰”かもしれません。

 

Step2 対応を少し変えてみて

認知症によって“食べたことを忘れる”ということは、ご本人の世界では“本当に食べていない”ことが事実になっています。そこに「さっき食べたでしょ?」と言われても、「え?本当に食べてないよ」と思って、いつまでも腑に落ちないことでしょう。それが続くと「娘はなんも食べさせない!」と怒ってくるかもしれません。

認知症の方が見ている世界は、あなたが見ている世界とは違うことがしばしばあります。
だから、「ちがうでしょ。さっき食べたでしょ」と言って認知症の方の世界を否定せずに、認知症の方の世界に飛び込んでみてください。

もしもごはんの量が足りなくて満たされていなかったとしたら、「もう少し待ってくださいね。その間にオヤツでも食べててください」とお茶とお菓子を渡してみるのはどうでしょうか。
あるいは手持ち無沙汰だった場合は、「今作っていますから、その間洗濯物をたたむのをちょっと手伝ってもらえたら助かるんだけど」と、何か簡単な家事仕事を依頼してみてはいかがでしょうか。
気が紛れて、食べることへの執着が一時的に軽減されるかもしれません。

 

Step3 問題行動の軽減

このように、認知症の方の世界を肯定した上で、その方の欲求を満たしてあげるような提案をすることで、記憶障害は改善しなくとも問題行動は変えられる可能性があります。
また、認知症の初期から中期では、自分の記憶力低下に気付くことがあり、不安を感じることがあるようです。
そして家族への迷惑を考え「自分は家族のお荷物」と考えて孤独と戦います。
私が関わっていた例では、あえて簡単な家事などの「仕事」をしてもらいました。
その仕事中や最後には「助かったよー、ありがとう」というお礼をされる言葉を意識的に口にする事を意識していました。
相手の方は「わたしは役に立っている。ここにいて良いんだ」と感じられます。
その積み重ねにより安心し、心が安定してきます。それは表情にも現れ、行動も変化していきました。
マズローの基本的欲求のうちの社会的欲求(所属と愛の欲求)と呼びます。
そしてすることで、問題行動が軽減することがよくあります。

マズローの欲求5段階説とは? 知っておくべき心理の法則

   

問題行動を減らすコツ

① あえてゆっくり対応

認知症は脳の機能が低下しますので、処理速度も遅くなります。それでも周りに合わせようと脳を限界まで回転させるため疲れてしまいます。そうすると焦りがみられたり混乱してさらに状況を悪化させやすくなります。認知症の方とゆったりと関わることで、穏やかな反応が期待できます。

介護者のイライラは伝わる

認知症の方は言葉の理解力が低下しますが、実は向上してくる機能もあります。それが、言葉を介さない察知する能力です。
介護する側が焦っていたりイライラしていると、それを敏感に感じて共鳴するかのようにイライラしてくることが多くみられます。
だからこそ、介護する人がゆっくりと落ち着いて対応することをおすすめします。

 

② その人の世界へ飛び込んで

「あ、忘れてた」と自覚することができる物忘れと異なり、記憶障害は忘れていることさえ気づけません。頭に全く記憶されていないため、本当に経験していない状態と同じです。そこで「忘れたの?」と言っても、理不尽に責められていると感じてしまうだけです。かといって、介護するご家族が毎回初めてのように接すのも大変です。
だから「ごはん今作ってます。これ食べて待っててください」などと、攻撃を受け流すようにまずは相手の意見を共感しながら肯定して、その上で落ち着くような提案を探してみてください。正解は人それぞれ違いますので、精神的な余裕があるときは正解を探すゲーム感覚から始めてみてはいかがでしょうか。

 

③ わかりやすい声掛け

「記憶力・理解力・判断力の低下」は脳の機能低下で起こる中核症状と言われます。ご本人の努力でカバーできるものではありません。短い言葉やご家族の中での共通言語のような理解しやすい話し方で話すなど、理解しやすいようにサポートしてあげてください。

     

イライラの本当の意味

認知症のご家族と関わる時に感じるイライラの原因と対処法

イライラするのは大切に思うあなたの責任感の裏返し

イライラのような“怒り”の感情は二次感情といわれています。そしてその裏には「不安・寂しさ・心配・絶望感」などの一次感情が隠れています。
なぜこのような一次感情を抱くのでしょうか。

それはあなたが、その方をとても大切に思っているからです。

「認知症が悪化してしまうんじゃないか」という不安、「なんでこんなこともできなくなってしまったの」という寂しさや絶望感、そして、「このままだと生活が破綻してしまうかもしれない」という心配が、二次感情の怒りを作り出してしまいます。

そこには「いつまでもそばにいてほしい」とか「自分の親の老いを認めたくない」というあなたの優しい気持ちと責任感があるはずです。

     

誰でも出来るストレスを減らす5つの対処法

認知症のご家族と関わる時に感じるイライラの原因と対処法

介護生活ではストレスを感じてしまうことはたくさんあるでしょう。
認知症による記憶障害で、自分が物をなくしたにもかかわらず、本人は物がなくなったことで「盗まれた」と思い込むことがあります。そしてその犯人は、その方にとって一番身近な人と思い込みやすいのです。認知症の問題行動の一つで、一番介助してくれている人を攻撃してしまうようなケースです。

介護するご家族にとって理不尽な出来事が度重なると、どうしてもつらい気持ちになってしまうと思います。

そこで普段から次の5点を注意して、ストレスを流していきましょう。

 

① 自分のことも思いやる

最初にも申し上げましたが、いろいろな要因が複雑に絡み合いストレスフルな状況になることでイライラしてしまうものです。あなたが落ち込んだり自分を責める必要はありません。それどころか、そこまで頑張っている自分自身を褒めてあげてください。
自分自身を大切にすることは、ストレスを軽減して介護負担を減らし、今よりも楽な介護生活を送れるでしょう。

② 1人で抱え込まない

誰かに相談したり愚痴を吐いてください。誰かに話すことで気持ちが楽になるだけでなく、八方塞がりにも感じられる問題や、自分自身で気持ちの整理ができ、新たな考え方や方法の発見ができることもあります。

③ 頑張りすぎない

常に100%の力で動き続けることは出来ません。目指すのは50点や60点でいいのです。
介護生活は【少しでも楽に】です。

④ 終わりを考える

長い介護生活ではありますが、いつかは終わりがきます。
また在宅介護や自分ができる部分を『ココまで』と区切りをつける選択肢を持つこともできます。ゴールが見えず走り続けるのと、ゴールを意識して走り続けるのでは違いますよね。
そして自分の決めたゴールをきった時に、再度ゴールを変更してもいいし考えることもできるのです。

⑤ 距離を置く

色々言ってきましたが、それでも介護生活はストレスを感じやすい環境です。だからこそ、時には介護生活から離れてリフレッシュしましょう。これも介護生活を続ける上でとても大切なお仕事と思って、しっかりと羽を広げてください。そのために利用できるサービス(レスパイトのためのサービス)があります。

     

おわりに


「前回うまくいってた方法なのに、今回はうまくいかない」こともあります。

その方の性格や環境によって反応が変化もしますので、答えは一つではありません。
日々トライ&エラーを繰り返すことで、その方の傾向と対策が見えてくるでしょう。

認知症の方の介護は大変なことも多いですが、関わり方や考え方を変えることで楽になる部分も少なくありません。肩の力を抜いて、ゆったりとした気持ちで関わっていくことが大事だと思って私も日々取り組みをしています。
今回のブログで1つでも参考にしていただけることがあれば嬉しいです。

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