【なんで?】ムセと誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)【在宅介護】

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【なんで?】ムセと誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)【在宅介護】

ちょい旅サポート ルピネ 看護師です。

 

こんな時期に咳をしたくないのに人といる時に限って
自分の唾液でムセてしまい
気まずくなることありますよね。

「しかも唾液でむせるって…」と
落ち込む気持ちをなぐさめるべく
ムセにも関係した研究がありましたので
簡単にご紹介いたします。

 

 

はじめに、簡単に言葉のご説明

 

「ゴクリ・・・」と飲み込む動作のことを
嚥下(えんげ)」といいます。

 

そして、飲み込みが失敗してむせたり、
胃に入るべき物が誤って入ってしまうことを
誤嚥(ごえん)」といいます。

 

また、むせることもなく知らず知らずの間に
食物や唾液、胃の中に一度入ったものが
逆流して肺のほうに流れ込んだものを
不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)」といいます。

 

その結果、
肺の中で炎症が起こってしまうことを誤嚥性肺炎といいます。

肺炎

 

研究結果

 

「誤嚥性肺炎になり回復した高齢者」と「健康な高齢者」が、
眠っている間に唾液などがどのくらい肺に流れ込んでいるか(誤嚥しているか)を
比較した研究結果があります。

 

唾液が肺に流れていた人数の割合

【健康な高齢者】10%

【肺炎から回復した高齢者】70% *1

 

これが何を意味しているのかというと
肺炎になった人では、無自覚のうちに唾液や逆流した胃の内容物が
肺の方に流れ込む(不顕性誤嚥)ことが多い
ということです。

 

また、この不顕性誤嚥が誤嚥性肺炎に
深く影響しているということ示唆する文献も
いくつかありました。

 

もちろん「誤嚥=肺炎」ではなく
誤嚥されたものや含まれる細菌の量、
ご本人の体力(免疫機能)の低下などが
肺炎発症の肝になります。

 

 

上記の研究で誤嚥の有無を分けたもの、
それは2つの反射といわれています。

 

  • 上手に飲み込むための「嚥下反射」
  • 気管に入りそうになった時に、押し出そうとする「咳反射」

 

反射とは、ある特定の刺激によって
勝手に動いてしまう筋肉の動きです。

 

この2つの反射は比較的加齢により
衰えることは少ないようですが
肺炎や脳卒中(脳血管疾患)を患った方は、
喉の筋力低下や麻痺などによって
鈍るという報告もあるそうです。

 

H28年の厚生省の資料でも
脳卒中の後遺症が誤嚥性肺炎の発生に
大きく関係していることを示唆しています。

おわりに、そしてこれから

じゃあ、一度でも誤嚥性肺炎や脳卒中になったら、
また肺炎になるのも仕方ないと
諦めなければならないのかっていう話になりますよね。

 

だって肺炎って
日本人の死因5(2019年厚生省)だし
肺炎患者の約7割が75歳以上の高齢者だっていうし
そのうち高齢者の肺炎のうち7割以上が誤嚥性肺炎だっていうし
熱も出るし
身体もしんどいし。

「なんとかならないの!?」

って思いますよね。

 

しっかりと起きているときにも
誤嚥していることがありますので
ごはん(唾液含む)とか食べてむせたら我慢させず
逆に大きくしっかりと咳をしてもらうよう
声をかけてみてください。

 

ムセは体の防御反応です。

 

咳エチケットをしっかり守って
周りの人の迷惑にならないように注意しながら
しっかりと咳を出すことが大切です。

 

外出先だったら「喉が詰ま゛った゛…」などと胸をさすりながらだと
周りの人にも変な誤解を与えなくて済むかも。

 

 

そして、
わたし達が身近なケアとして大事になってくるのが口腔ケアだと思います。

 

またちょっと長くなってしまいそうなので、続きは次回

【誤嚥性肺炎】対策を5つ!口腔ケアの効果とは?【在宅介護】

 

文献

*1.Kikuchi R, Watabe N, Konno T, Mishina N, Sekizawa K, Sasaki H.: High incidence of silent aspiration in elderly patients with community-acquired pneumonia. Am J Respir Crit Care Med. 150 : 251-3, 1994.

2.大類孝:超高齢社会における誤嚥性肺炎の現状,日老医誌458-460、2013

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