【認知症は不潔?】認知症の方の不潔行為の理由と対処方法【在宅介護】

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【認知症は不潔?】認知症の方の不潔行為の理由と対処方法【在宅介護】

認知症の症状のお悩みには、排泄物をいじって衣服や家を汚してしまう不潔行為と呼ばれるものがあります。
 

「なぜ匂いがするのに平気なの?」

とか
 

「この症状にずっと悩まされるの?」

と不安になる方も多いと思います。

   

本記事の内容

  • 認知症の症状のひとつである「不潔行為」とはなにかを解説します
  • 不潔行為が起こる原因と7つの対処法
  • やってはダメ!記憶障害がある認知症でも覚えてしまうこと

 

私がまたシステムエンジニアとして働いていた頃、自分の祖母の介護を手伝っていた時期がありました。そしてこのような問題を目の当たりにしました。その後、作業療法士となって知識や経験が増えた今、「あの時こうしてればよかったな」と、当時の自分の未熟な行動を後悔することがあります。今、介護をしている方のお役に立てれば幸いです。

     

はじめに

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認知症の症状には不潔行為が見られることがあります。代表的なものは「弄便(ろうべん)」です。いわゆる「便イジリ」です。
このような症状への対応は病院スタッフも悩みますから、専門職ではないご家族にとって身体的にも精神的にも負担が大きいものだと思います。
今回はこのような認知症による不潔行為の症状でお困りの方へ、おすすめする対処方法をご紹介します。

     

認知症による不潔行為とは

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不潔行為は排泄に関した異常な行動を指し、具体的には

  • 便を触る
  • 便器の中に手を入れる
  • おしりを拭いたトイレットペーパーを汚物入れに入れる
  • 便を服や壁にこすりつける
  • 汚れた下着のまま過ごしている
  • 汚れた下着をタンスに片付ける
  • トイレでない場所に用を足す

などです。

なぜこのような行動を取ってしまうのでしょうか。
ではその原因について考えてみましょう。

   

原因1『失禁』

そもそもトイレに間に合っていれば、失禁しませんよね。
失禁してしまう理由は、大きく以下の3パターンに分けられます。

  

①尿意や便意がわからない

高齢になると感覚の低下によって尿意や便意が感じにくくなる方がいらっしゃいます。ご本人が気づかないうちに失禁していることがあります。

  

②トイレに間に合わない

歩行能力などの身体の機能低下、前立腺肥大症や排泄を我慢する筋肉の衰えによる漏れ、腸の機能低下や下剤が効きすぎることによる下痢、トイレの場所を忘れてしまって間に合わないなど認知機能の低下によるものが挙げられます。

  

③用を足す手順がわからない

ズボンの降ろし方がわからない、下着を脱ぐのを忘れるなど、認知機能の低下により動作の手順がわからなくなることで失敗してしまうことがあります。

   

原因2『後始末の仕方がわからない』

上の3つの理由で失禁してしまいますが、これで終わらずに次の行動が起きてしまうことがあります。

失禁してしまったら、あなたならどうしますか?

私なら、失禁して汚れてしまった下着を自分でなんとかしようと試みます。
だって恥ずかしいですもの。
本来なら『お風呂場で汚れた下着を洗う』という方法があるかもしれません。

しかし認知症により、どう片付けていいのかわからない状態になったと仮定して考えてみましょう。

「汚れたままの下着、このまま履いてたら気持ち悪いし、どうしよう・・・」

下着を脱いで部屋のゴミ箱に捨てることにします。あるいは、ベッドの下に隠すかもしれません。
汚れて使えなくなった下着をゴミ箱に捨てたり、恥ずかしいものを隠すという行為は、一視点からは正しい対応にみえるかもしれませんね。
しかし数時間後、介護する方がこれを見つけた時どう思うでしょう。

「ああ!汚物のついた下着を部屋のゴミ箱に捨てて、部屋中の匂いが大変なことに!」

当然です。便で汚れた下着がゴミ箱に放置されているのですから。

一方、便を便だと認識がすることが困難で、それが何なのかわからない方の場合は、匂いもあまり認識できていません。

「下着になんか入ってる・・・なんだろう、ちょっと気持ち悪い」

となんとなく違和感を感じて、手を突っ込んで取り除こうとするかもしれません。
それを拭い去ろうとティッシュで拭いたりお風呂で洗い流すことができればいいのですが、その方法がわからなければ近くにある布団や絨毯・壁で拭おうとすることでしょう。

そして介護する方が「ああ!」となるのです。

このように、不潔行為は『失禁+認知障害・不快感やかゆみ・羞恥心』によって様々な行動として現れます。

     

不潔行為の予防・負担軽減のための7つの改善方法

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有効な手段は人によっても違いますし、環境によっても変わってきます。その方が排泄のどこが上手にできていて、どこがわからなくて失敗しているのかを知ることが対策の近道です。

   

①尿意・便意が乏しい → 時間で声をかけてみる

 尿意・便意が乏しい場合やトイレに行きたいと訴えることができない方もいらっしゃいます。その方の排泄リズムや、排泄前の落ち着きのないような行動を察知することで、介助者が頃合いを見計らい声掛けすることで失敗を防げる可能性があります。

   

②トイレの場所がわからない → トイレまで誘導してみる

認知症は最近の記憶から忘れやすいため、数年前に引っ越してきた今の家のトイレの場所がわからなくなっていることがあります。しかしトイレを使用して排泄できるならそこまで誘導してあげて、トイレで排泄する習慣の維持をおすすめします。また、ポータブルトイレを使用することも効果が期待できます。なぜなら、おむつ内の排泄物の不快感が不潔行為につながっていることが多いからです。

   

③更衣ができない → 服の着脱やトイレの手順を介助

ズボンや下着の着脱方法がわからない、その他の排泄の一連の動作が困難な場合、「トイレットペーパーは便器の中にポイ」などとわからない手順の声掛けや実際に手伝うことで、トイレで正しく排泄することができます。

   

④便がゆるい → 食事内容や下剤の調整・運動など

食べ物や季節、飲水量によっても便が硬くなったりゆるくなったり変わってきます。食事の内容を調整したり、かかりつけ医などから下剤の調整をしてもらうことも考えられます。また適度な運動や腹部へのマッサージは腸が活動する刺激となり、下剤の量を減らせるかもしれません。

   

⑤痒みや痛みがある → スキンケア

排泄物が長時間肌に触れていると皮膚トラブルの原因となり、かゆみや痛みなどに繋がります。かゆいとつい触ってしまいますので、よく触っているようでしたら皮膚の状態を観察してみてください。おむつが汚れるたびにすぐに取り替えることができるとベストだと思いますが、時間に追われがちな介護生活では完璧を求めないように気をつけてください。

   

⑥介助者の精神的負担が大きい → 環境を整える

 対策を始めてもはじめはうまくいかないこともあります。失敗しやすい場所をビニールや防水シート、雑巾などで保護したり、ウェットティッシュやビニール袋・アルコールスプレー・消臭剤などの用意をして後始末をしやすくしておくことで、不潔行為が起こったときも少し落ち着いて対処できるかもしれません。

   

⑦介助者の精神的負担が大きい → 福祉介護サービスを利用する

 訪問介護や通所サービスなどを利用したり、ケアマネジャーさんや市区町村の相談窓口への相談も可能です。その方に合ったアドバイスやサポートも期待できます。

     

やってはダメ!記憶障害がある認知症でも覚えてしまうこと

認知症になっていても、排泄の失敗に恥ずかしさを感じてしまう方が多いです。汚れたものを隠したくなる気持ちもわかりますよね。一方で、ご本人は正しいと思い込んでこのような行動を取っている場合もあります。そのような方に対して強く否定することは不満や不信感に繋がり、症状が悪化してしまう可能性もあります。認知症の方は、かけられた言葉などの細かい出来事は忘れても、『この人なんだか怖い』などという不快感は残りやすく、介護拒否などへと発展してしまう可能性があります。トイレの失敗に対してもできるだけ優しく対応することがおすすめです。

     

拘束具はどうなの?

ミトン(手袋)
拘束具とは、ミトン(手袋)やジャンプスーツ(つなぎパジャマ)など、身体の自由な動きを制限することで安全を確保するものです。病院では状況によってご家族に許可をとった上でやむを得ず使用することもあります。
ミトンなどを付けた場合、ご本人が気になる物が掴めず、かゆいところも掻けない状態となります。これらはご本人に強いストレスがかかり、うつ状態になったり攻撃的な行動が見られるようになるなど、認知症の症状を悪化させてしまうリスクがあります。しかし、状況によっては最終手段としてこれらの使用が必要な場合もあると思います。早めにケアマネジャーさんや市区町村の相談窓口への相談をおすすめします。

     

おわりに

ちょい旅サポート ルピネ
認知症の症状全般に言えることですが、いろいろな問題行動や失敗の多くは、その行動の一部分だけがうまくできないことで起こっています。そしてご本人が懸命に自分でなんとかしようと努力している結果といえるでしょう。ご本人が感じている不快感を上手に取り除くことや、上手にできない部分を介助したり環境調整をすることで、改善するケースも少なくありません。認知症による理解力や言語理解の低下がある場合も多いと思いますので、私はできるだけ優しい声掛けをすることで緊張を解いてあげるよう心がけています。

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