夜10時の電話。「お父さんが起き上がれないんです」~ 退院直後の在宅生活で起きた“想定外”の出来事
2026/03/10
夜10時の電話。「お父さんが起き上がれないんです」
~ 退院直後の在宅生活で起きた“想定外”の出来事 ~
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夜10時を過ぎたころ。
一本の電話が鳴りました。
「お父さんがベッドから転んで起き上がれないんです…」
電話の相手は、数日前に退院された阿部様(仮名)の奥様です。
数か月の入院を経て、ご自宅に退院された阿部様。
ご自宅では奥様と二人暮らし。いわゆる老々介護です。
電話口の奥様は、かなり慌てていました。
「お父さんがトイレに行こうとしてベッドから転んじゃったの…」
「起こせないの。ケアマネにも電話がつながらなくて…」
「汚れちゃってるし、どうしよう…」
まずは落ち着いて状況を確認します。
「痛いところはありませんか?」
「今はどんな姿勢ですか?」
お話を聞くと、阿部様はベッドの横の床に倒れている状態。
幸い、痛みはないとのこと。
まずは大きなケガがなさそうで一安心です。
次に、奥様に落ち着いていただきます。
トイレに行こうとしての転倒なので、当然汚れてしまっている様子。
しかも退院したばかりで、まだ訪問ヘルパーなどの手配もされていませんでした。
そこで私はこうお伝えしました。
「大丈夫ですよ。これから行きます。」
「できる範囲でいいので片付けてみてください。もし無理だったら、そのままで大丈夫です。私がお手伝いします。」
「よかった…」
電話の最後には、奥様の声が少し落ち着いていました。
夜の訪問は何が起きるかわからない
電話を切り、急いで準備をします。
汚物は感染物として扱う必要があります。
バイタルセット、プラスチックガウンやニトリルグローブ、新聞紙、アルコールスプレーなど、
夜の訪問では、何が起きるかわかりませんので、できる限り柔軟な対応ができるようにいろんなものを用意して向かいます。
奥様が必死で掃除をしていた
お宅に到着すると、奥様はすでに落ち着きを取り戻していました。
そして、目に見える汚れを一生懸命掃除してくださっていました。
まずは阿部様の状態を確認。
痛みがないかをお聞きし、腫れや変色などの打撲創などはないかをチェック。
バイタルチェックでは血圧がやや高め。
ただ、この状況なら自然な範囲です。
当のご本人は思ったより元気そう。
ひとまず安心しました。
「まだ便は出そうですか?」
「もう全部出ちゃった」
とのこと。
ベッドへ戻る介助
ベッドに新聞紙を敷き、そして奥様に説明します。
「これから立っていただきます。」
「立ったら、奥様がお尻を拭いてください。」
全介助で立ち上がりをサポート。
旦那様は
「立ってられない…」
と膝が震えています。
でも大丈夫です。
膝を私の両足で挟み込んで支えるパッキングという方法を使っています。
「力が抜けても私が支えているので大丈夫ですよ」
その間に奥様がお尻と床を清拭。
その後、ベッドに座っていただき横になってもらいました。
寝たままの着替え
拭ききれなかった汚れが新聞紙に付着しますが、ベッドへの汚染は免れました。
奥様が困った顔で聞きます。
「これからどうすればいいの?」
阿部様に横向きになっていただき、お尻をきれいにします。
新聞紙を取り、左右に寝返りをしながらリハビリパンツ(大人用紙おむつ)とパジャマを着ていただきました。
すると奥様が驚いた様子で言いました。
「こうやってズボンを履かせればいいんだ…」
阿部様は寝たきりではなかったため、
寝たままの着替えの介助方法をご存じなかったのです。
※通常、退院にあたって寝たきり状態のため家族が着替えなどの介助をしなければならないことが想定される場合など、必要に応じて入院中に病院で練習することが多いです。
老々介護で本当に大変なのは
こういう想定外のトラブルが発生した時、家族だけではどうにもならないことがあります。
特に老々介護では
介助される方ではなく
介助する方の体力や精神的な余裕が、
在宅生活を続けられるかどうかの鍵になることが多いです。
もちろん
「気合いで頑張る」
「体力をつける」
という話ではありません。
大切なのは
ケアマネージャー、訪問ヘルパー、デイサービスなど、周りの力を借りることです。
そしてもうひとつ大事なのがレスパイト(介護する人の休息)。
介護する人が限界を迎えてしまったら、在宅生活は続けられなくなってしまいます。
だからこそ、【適度に手を抜くこと】も大切な介護だと思います。
困ったときに思い出してもらえる存在に
あの夜、奥様は
「どうしよう」
と本当に困っていました。
そんなとき
「とりあえずここに電話してみよう。何とかしてくれるはず」
と思える場所があること。
ルピネも、そんな拠り所のひとつになれたらと思っています。
今回のケースのポイント
今回のケースでは
- 夜間の転倒対応
- 床からの起き上がり介助
- 汚染対応
- 家族への介助方法の説明と簡単な練習
などを行いました。
退院直後の在宅生活では、こうした想定外の出来事が起きることもあります。
ルピネでは、介護旅行、外出のお付き添い、通院付き添いだけでなく、
こうした場面でもできる範囲でサポートしています。
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ちょい旅サポート ルピネ
住所 : 北海道北斗市向野1丁目1ー9
電話番号 : 0138-85-8165
介護の保険外サービスを提供
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