【むくみのしくみ】4つのおうちで簡単ケア【在宅介護】
こんにちは。
ちょい旅サポートルピネの看護師です。
突然ですが、
「足のむくみがひどくなってきているけど、これは病院に行くほうがいいの?」
「なんで“むくむ”の?」
「自分で何かできることはあるの?」
というお悩みをうかがうことがあります。
そこで今回はむくみについて、いくつかの文献を照らし合わせてまとめました。
むくみってなに?
むくみとは
細胞・組織間にある組織間液(間質液)が異常に増加した状態
…はい、わからない。
まったく何言ってるかわからないー!
わたしが代わりに怒っておいたので安心してください!
まず「細胞ってなに?」って話ですよね。
(そのくらい知ってるっていう方は読みとばしてくださいね。)
生物は細胞でできています。
植物もアリもミジンコも人間も。
核があって、細胞膜があって…っていうあれです。
細胞は生物体を形づくる最小単位ともいわれています。
つぎに「組織」は
ある機能を実現するためにそれぞれ特化した細胞が集まってできた集合体。
人体の構成を細かくしていくと、以下のように分けられています。
身体(個体)は器官系の集まり
↓
器官系は器官の集まり(消化器系とか循環器系など)
↓
器官は組織の集まり(食道とか胃とか腸など)
↓
組織は細胞の集まり(筋組織とか神経組織とか上皮組織など)
↓
細胞(骨格筋細胞とか神経細胞とか肝細胞など)
そして、その細胞や組織の間、つまり組織間には、たえず液体(間質液)が流れています。
その液体の主な役割は、組織の新陳代謝、栄養物の供給、老廃物の運搬です。
なんとなく組織間液(間質液)は体に必要そうっていうのはわかるけど、
分からないのは、『なんで異常に増加するのか』ですよね。
むくみの主な原因
むくみとは
「細胞・組織間にある組織間液(間質液)が異常に増加した状態」でしたね。
よく“リンパの流れが悪いから”って聞きませんか?
ということは、
どうやらリンパがポイントのようですね!
組織間液は、主に(約90%が)毛細血管(静脈)に再吸収されて回収されますが、
残った一部(約10%)はリンパ管に吸収されリンパ液となり運搬され、血液循環に戻っていきます。*
えっ?えっ?リンパ… 10%なの?
結局はほとんどが静脈…
そしてどうやらその10%も最終的には静脈に行き着くらしい…
「このーリンパめー!」と
鬼の形相でリンパマッサージをしていた方、気を落とさないでください。
ここに仲間がいます!
(え?わたしだけ?)
(手術後のリンパ浮腫などで、リンパマッサージが効果的な場合もあります)
気を取り直して、それでは主に毛細血管(静脈)が関係してそうだと分かったところで、
浮腫の原因についてです。
むくみは医療用語では浮腫(ふしゅ)といいます。
原因は大きく2つあります。
・生活習慣が影響するもの
・病気の症状であるもの
生活習慣が影響するものといえば
長時間の立ち仕事やデスクワーク、
塩分のとりすぎ、
アルコールをたくさん飲んだ次の日 とか
また、ご高齢の方では、病気ではなくても心臓や腎臓の機能が若いころと比べると低下したり、筋力の低下といったことで循環機能も低下してむくみが起こることもあるようです。
むくみが症状として現れる病気には、
心不全などの心臓病
肝炎、肝硬変などの肝臓病
腎臓病
栄養状態の悪化
薬の影響
静脈瘤や深部静脈血栓症
手術の後などのリンパ管浮腫 など様々あります。
このようにむくみが症状として現れる病気もあります。
病気で浮腫が出現しているのであれば、まず治療が大事です。
むくみが続くようなら病院受診を検討してみるのも大事です。
また、病院受診をするときには
・むくみが気になる部分がどこなのか
・腕や足だとすれば片足なのか両足なのか、全身なのか
・急にむくんできたのか、じわじわむくんでいるのか
・朝と夜で違いがあるのか
など、自分の中で整理していくと医師に状況が伝わりやすいかもしれませんね。
むくんでるだけなら大丈夫?
むくんでいる皮膚は傷がつきやすく、感染症も起こりやすくなっています。
むくみが強くなった皮膚の状態をイメージするなら、大きく膨らませた風船です。
大きくなれば、どんどん風船のゴムの部分が薄くなってきます。
そして薄くなったゴムが、外からの刺激で傷つきやすく割れやすくなるように、皮膚も傷つきやすくなります。
また、皮膚のバリア機能も低下します。
そのため水虫や蜂窩織炎などの感染症が起きやすいのです。
そもそも「むくみ」というのは、間質液の流れが悪いということでしたよね。
そしてその間質液の役割は組織の新陳代謝、栄養物の供給、排せつ物の運搬。
つまり感染や傷の治りもスムーズではなくなってしまうということです。
おうちでできること
病気によるむくみは、医師の指示に従って治療を行うことが大事です。
そのほかに家でできることを、4つご紹介。
① むくみを引き起こすような塩分の多い食事や多量の飲酒はしない
② 筋力低下を防ぐため適度な運動習慣をつける
③ 感染症を防ぐため、体の清潔を保つ
④ 足などむくんでいるところに傷がつかないように、長めの靴下やサポーターなどで皮膚を保護する
④は、きつすぎる靴下など、ゴムにより一か所に圧がかかるようなものは避けましょう。
むくみがあるだけでも、気になるところですよね。
そこに感染症などが起きないように日ごろから気を付けていきたいですね。
文献
* 小川佳宏:特集在宅浮腫マネジメントの新常識858~863訪問看護と介護vol.25 no.11 2020