【おもしろ実験コラム】脳の限界を体験してうっかりミスを減らそう【高次脳機能】
はじめに
「あー!うっかりしてたぁ!」
そんな経験、誰にでもありますよね。
それが仕事の失敗だったらと思うと…ゾッとします。
その『うっかり』は、脳の注意機能が限界を超えたからかもしれません。
今回のブログでは、自分の注意機能の限界を体感できるチェックを2つ用意しました。
集中力チェック 自覚編
突然ですが、あなたは集中力がある方だと思いますか?
集中力は注意機能のひとつです。
あなたの集中力がどの程度なのか、チェックしてみましょう。
こちらの動画を見て、白いシャツを着たチームは何回のパスをするか正しく数えられるでしょうか。
数えられましたか?
動画の後半を見た方はこの動画の本来の目的がおわかりになっているでしょう。
動画を見ずにここを読まれている方もいらっしゃると思いますので、動画についてはこれ以上触れないでおきますね。
しっかり見たのに動画の意図がピンとこない方は、今度はパスを数えずに全体をぼーっと見てみてください。
きっとあなたはハッと驚くことでしょう。
車の運転は同時処理
あれもこれも…と一度にやることが得意な人と、ヘッドホンをして周囲の雑音を排除して一つのことをじっくりやりたい人がいますよね。
あなたはどちらのタイプでしょうか?
「俺はいくらでも同時にできるぜ。車の運転も本当ならスマホ操作しながらでも事故らない自信があるぜ!」
・・・それはとても危険なので、絶対にやめてください!
(何より道路交通法違反に抵触します)
どんなに自信があったとしても、人間の集中力(注意機能)には限界があるものです。車の運転は同時処理(ダブルタスク/マルチタスク)の代表的な作業です。運転に自信がある人でも実は同時にやっているわけではなく、交互に切り替えている方も多いようです。
つまり片方の処理をしているときは、もう一方の処理は停止しているということです。
そして車の運転中にスマホの操作をすると、車の進路が徐々にずれ白線を越えても、頭の中の安全確認の処理は一時停止したまま…。少し時間が経って、頭の中の処理をスマホ操作から、車の運転に戻した時には対向車が目の前に!
これが自動車運転中のスマホ操作による事故の大まかな原因です。
同様に高齢になると事故が増加する要因にも、注意機能の衰えのために運転操作に集中するあまり、一部の安全確認が処理落ちして発生している可能性があるのです。
そして、意外にも人間が同時に処理できる限界は、私たちが実感するものよりも低いものです。
次に、あなたの注意機能の限界をチェックしていきましょう。
注意機能チェック 実践編
あなたがはじめの動画で体験したかもしれない注意機能の限界ですが、実際にいろんな方法で体感することができます。
あなたの脳はどの難易度まで持ちこたえられるでしょうか。
ちなみにこれらの課題は注意機能を強化する脳トレにもなります。
チェック1 『きれいに描いてね』
・なし
難易度①
指揮者の要領で「1,2,1,2…」とリズミカルに数えながら、右手を数字の1を書くように上下に振ってください。
同時に左手は漢字の一を書くように左右に振ります。
難易度②
右手は先程と同様に、数字の1を書くようにリズミカルに上下に振ります。
しかし今度は、左手を⊿のような三角を描くように振ります。
三角を5回かけるまで繰り返してください。
うまくできましたか?
縦に振る右手が斜めに動いたり、
左手が描く三角形の形が崩れたりしませんか?
難易度③
右手は先程と同様に、数字の1を書くようにリズミカルに上下に振ります。
今度の左手は、星マークを描くように振ります。
星を5回かけるまで繰り返してください。
右手は上下にまっすぐな線を描けましたか?
少し斜めにずれませんでしたか?
これは右手と左手の同時処理(ダブルタスク)です。
あなたは、たったこれだけのことで集中力の限界を迎えてはいませんよねぇ。
え?わたしですか?
・・・私は、作業療法士なので、そんな、あたりまえじゃないですか!!
(本当は練習しまくって難易度②ができるようになりました。③はまだうまくできないことはヒミツです)
チェック2 電池を落とすな
・単3、または、単4電池を3個程度
・まな板、または、少し硬めの平たい板
・スマホ
難易度①
立った状態で、乾電池を3つ以上乗せたまな板を片手で持ちます。
難易度②
もう片方の手にスマホを持ちます。
難易度③
そのまま部屋の中をぐるぐる歩きます。
難易度④
歩きながら、スマホでお気に入りのYouTubeを再生してください。
または今日がなんの日なのかを検索をしてください。
あらら?
スマホを操作しているうちに、電池を落としてしまいましたか?
これはながらスマホで、他の作業をミスる典型パターンです。
おわりに
考え事をしていると、『ついうっかり』な失敗をしてしまった経験は誰しも持っているでしょう。私なんて日常茶飯事…なのですが、自分の限界を知ることでミスを減らす対策が立てられます。また、この注意機能が極端に低下してしまう病気もあるのです。
こちらに注意機能やその障害について、高次脳機能障害の入門レベルの記事をご用意しました。もっと詳しく知りたい方はこちらへ。