【介護旅行】車いすの方が電車で旅行するのってどうすればいいの?【How-to】
はじめに
普段車いすで移動している方や、「数歩なら歩けるけど長い距離は車いすじゃないと」という方、あるいは、寝たきりの方がリクライニングできる大型の車いすで電車やモノレールなどに乗りたい場合、どのようにするのでしょうか。
車いすの人でも電車やモノレールに乗れるの?
もちろんです。でも普通に乗るのとはちょっと異なることもあるよ。
全体の流れ
電車乗車の手順は、大きく2つに分けられます。
JR山手線のような短距離を自由席で乗る予約なしの場合と、新幹線や特急などの指定席を予約して乗る場合です。
予約なしの場合
ご自宅から駅までの移動
ご自宅が駅に近い方は、車いす自走またはお付き添いの方が車いすを押して駅まで行けるかと思います。また、自家用車や一般タクシーにご乗車になられる方も問題ないでしょう。
ご自宅から車いすで少し遠くの駅まで移動したい場合は、車いすのまま乗れる福祉タクシー(介護タクシー/福祉ハイヤーなどとも呼ばれる)をご利用し、駅まで移動します。
ルピネでは、ご自宅のベッドから車いすへの移乗(*1)の介助もおまかせください。
*1 移乗とは:「ベッドから車いすへ」「車いすから別の車いすへ」「車いすからトイレの便座へ」などの乗り移ること。
自分の車いすを持っていないという方
車いすをお持ちでない方、あるいは、長時間座っていられるようなリクライニングができる車いすを使いたいという方にルピネは各種車いすをご用意しております。
切符の購入、および、改札の通過
駅に着くと切符を購入し自動改札横の駅員が対応している改札へ行き、駅構内に入ります。この際に、「車いすなので、電車に乗る時の介助とスロープをお願いしたいです」とお伝えすると、準備をし駅員が付き添ってホームまで誘導してくれます。
(駅員の方も準備がありますのできてくれるまで数分から十数分、その時のスタッフの状況によるのかと思いますので、事前に連絡しておくのが吉ですね。以下のポイントを参照)
事前に駅に連絡しておくとスムーズ
以下の内容を事前に伝えておくと、当日に介助してくださる駅員スタッフが準備してくれるので安心でスムーズです。
- 利用する日時
- 出発駅と目的駅
- どんな介助を手伝ってほしいのか
介助はルピネスタッフがご対応いたしますので、ホームまでの誘導と電車への乗降の際のスロープ設置をお願いしています。
なお、出発駅に問い合わせをすると、降りる駅や乗り換え駅へ連絡してくれそちらでもスタッフが手伝ってくれます。
JRから東京モノレールなど、他社への乗り換えの場合は別途連絡が必要です。
駅構内の移動
大抵の駅構内にはエレベーターがあります。
地方の小さな駅でなければ、エレベーターがなくてもエスカレーターがあります。
エスカレーターでも車いすが昇降できるような機能があるようです。
3段分が同じ高さになり、その上に車いすを乗せてホームへと昇降していきます。このあたりは駅員スタッフの指示に従っていけば、安全にホームまでいくことができます。
電車への乗車
駅員さんが車いすスペースがある車両に誘導してくれ、電車が到着し降りる方がいなくなると、ドア部分に折り畳みスロープをかけてくれます。
そのまま車内に乗り込み、車いすスペースでブレーキをかけてください。
なお、あらかじめ駅員さんが「どの駅で降りますか?」と聞いてくれます。その情報をもとに目的地あるいは乗り換えの駅に連絡してくれて、電車が到着する時間に向こうの駅員さんがスタンバってくれます。
バリアフリー環境の構築も限界があると思いますので、こういった人の手が重要な対応を笑顔でしてくださる駅員さんに感謝です。本来、駅員さんの業務ではないし時間も労力もかかるのに、とても親切で頭が下がります。
電車移動中
車いすのブレーキをしっかりしているとズレることはめったにありませんが、電車が大きく揺れることがあります。また、車いすのタイヤの空気が不足していたり、ブレーキ自体が緩んでいたりすると危険です。
スタッフが車いすのハンドルと手すりを持って、万が一の揺れに対応できるようにしています。
また、車いすのブレーキだけでなく、車いすの一辺を車両の壁に横付けして固定したり、車いすにご乗車の方が電車の手すりに掴まることも、車いすの安定につながります。
また、ルピネでは外出前の車いすのタイヤの空気の状態やブレーキチェックをしています。
電車からの降車
駅に到着し電車のドアが開き、降りるお客さまが降りきったところで、駅で待っていた駅員さんがスロープをかけてくれますので、それを使って降車してください。
あとは、また駅員さんが改札口まで誘導してくださいますので、指示に従って移動します。
この流れを繰り返して、電車を乗り継いでいきます。
少し行程が多いため、それを見越して余裕のある時間を予定しておくことをお勧めします。
予約(指定席)あり場合(車いす専用席の予約)
指定券の予約、および、事前確認
まずはJRなど利用したい交通機関の窓口に連絡し、指定券を予約します。その際に以下の確認を行い、駅の介助の手配も行います。
短距離の移動など予約を必要としない場合は、その場でお願いすることもできますが、駅員の人手が確保できるまで時間を要する場合がありますので、できる限り事前に連絡を入れておくことをお勧めします。(以下のポイントを参照)
事前に駅に連絡しておくとスムーズ
以下の内容を事前に伝えておくと、当日に介助してくださる駅員スタッフが準備してくれるので安心でスムーズです。
- 利用する日時
- 出発駅と目的駅
- どんな介助を手伝ってほしいのか
ホームまでの誘導や電車への乗降の際のスロープ設置、車両への乗降介助などをお願いします。
- 車椅子待合所の利用希望
乗り換えのための待ち時間が長い場合、おむつ交換などの介助が必要になることがあるため、必要に応じて「車椅子待合所」があれば利用したいことをお伝えします。
介助はルピネスタッフがご対応いたしますので、ホームまでの誘導と電車への乗降の際のスロープ設置をお願いしています。
なお、出発駅に問い合わせをすると、降りる駅や乗り換え駅へ連絡してくれそちらでもスタッフが手伝ってくれます。
JRから東京モノレールなど、他社への乗り換えの場合は別途連絡が必要です。
車いす席を予約すると、普通席も1席ついてくる!
車いす席を1名予約すると、自動的に車いすで乗車するスペースとその隣にある普通の座席がセットで確保されます。
車いすから降りて普通の座席に座っていきたいというときにはこの座席を使用し、乗っていた車いすは車いすスペースに置いたままとなります。
逆に、車いすに乗ったままで乗車する際は、ご本人様の座席は空席となります。そのためご家族や介助者が隣に座ることができます。
(※だからと言って家族や介助者が乗る一席分を予約しなくていいというわけではありません)
多目的室が利用できるかも
新幹線や特急など、長距離輸送の電車には多目的室が備わっているタイプがあります。
これは個室で、空いている場合は利用できますので、予約時に確認することをお勧めします。
ただし、そんなに大きなスペースではありませんので、フルリクライニングの車いすの場合は入らないこともあります。
また、多目的室は一人分のベッドを展開することもできるので、移乗介助が可能であれば、ベッドに寝てしまってご自身の車いすは畳んでもいいかもしれません。ただし、ベッドは低いため、ベッドから車いすに戻る時に、移乗介助に自信がない方は無理しない方がいいかもしれません。
ご参考までに動画を撮影しました。
この時はフルリクライニング型車いすを45度ぐらいリクライニングしています。また車いすの背面には酸素ボンベとサクション(吸引機)を載せているので、多目的室の椅子は使用できませんでした。サクションなど電源機器を使う場合、多目的室内のコンセントの位置によっては届かないことがありますので、延長ケーブル持参がいいかと思います。
ちなみに折り畳み椅子を広げるスペースも難しかったため、ルピネスタッフは手前にしゃがんでいました。
当日の駅の改札口
自動改札口ではなく、駅員がいる改札口で乗車券を見せて、車いすでの利用を予約していたことをお伝えします。改札口内に入り、誘導してくださる駅員がくるまで少し待機となりますが、ほどなくしてホームまで案内してくださいます。
モノレールなどのご利用も同様の手順で可能です。
ルピネが気を付けているポイント!
お手洗い
電車走行中は揺れるため、転倒リスクが高まりますし、介助も難しくなります。トイレは乗車前に済ませておく。また、念のためにおむつの使用も考慮する。
スケジュール
余裕を持った時間でスケジュールを立てる。
万が一の際は、予定の一部を省いたり変更する可能性も考えておく。
安楽な姿勢
ご旅行中は車いすに乗っている時間が長くなるかと思います。臀部(おしり)の皮膚トラブルを避けるため、できるだけ安楽な姿勢ができるようなリクライニング型の車いすやウレタンの座布団・クッションなどのご用意をお勧めします。
また長い時間同じ姿勢をし続けると、体重がかかっている部分の血液循環が悪くなり、皮膚トラブルにつながります。2時間を目安に姿勢を変えることをお勧めします。
さいごに
スケジュールは思い通りにならないこともあります
安全第一で臨機応変な対応ができると安心ですね。
介護が必要な旅行は、介助する方の体力的な負荷と不安などによる精神的疲労によって本来の旅行に集中できないケースもあるようです。
そんな時は介助や不安なことを含めたすべてをルピネに丸投げして、安心してご旅行を全員で楽しみませんか?